【インタビュー】

	  



 今日こそは、まったりとした時間を過ごそう。

 わたしはそう決意し、あの公園へとくりだした。

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 ごめん、来なきゃよかった。

 何で、子供しかいないよね、なんて思っちゃったんだろう。

 リリアンの学校において、希望的観測なんてしちゃいけないって身に染みてわかっていたはずなの
に。

 今までそれで、不幸に陥ってたじゃん。

 成長しないよ、わたし!

 もっとこう・・・・・あるじゃん色々と!

 先を見た行動とかさ!

 でもそんな事してたら、家から出られないし!
 
 ・・・・・・結局、誰かに会うんだよ!

 だったら先を見て行動しても意味ないね!(開き直り)

 そうだよ!

 意味ない意味ない!

 ハハハ!

 ・・・・・・・・・・・・・泣きそうっ(涙拭い

「ごきげんよう、巳星さま」

「ごきげんよう、松平瞳子」

 そう、そこにいたのは松平瞳子。

 この子、今中等部だよね?

 なんでここにいるわけ?

 というか、前も思ったけど、何でこの子もわたしの家を知っているわけ?

 もしかして、わたしの住所、誰かが流してる?

 それとも、松平家の力で調べたとか?

 なんか言ってて怖くなったんですけどっ!

「今日は、一体どうしたの?」

 とりあえず、平静を装って聞いてみる。

 だって、もしかしたら偶然ここにいるだけなのかもしれないし。

 今までの経験上、そんな希望はいつも砕かれるんだけどね!

「あなたが、青薔薇さまにふさわしいかどうか、調べに来たのですわ!!」

 いや、やっぱり前にも思ったけど、ここにいないでうち来なよ。

 来るかわからないのに、何でみんなここでまってるわけ?

 それともあれ?

 君らエスパーで、今日はくる!とかわかるの?

 うわ、チョー怖ぇ。

「ふ〜ん。調査って、何するの?」

 そう問うと、言葉に詰まる松平瞳子。

 何で、ここで待ってる人ってどうするか決めてないんだろう?

 おかしくない?

 おかしいよね?

 それとも、わたしがおかしいの?

 普通は、何をするかとか決めないものなの?

 いや!そんなはずない。

 おかしいのは、この子達だよねっ?

「あれですわ!巳星さまがすることを監視します!」

 ・・・・・まあ、監視されても問題はないけど。

 ついでに、わたしなんか監視しても面白味ないだろうし。

 むしろ、トリオとか監視した方が面白い気がするけど。

 本人がやりたいなら、それで良いけどさ。

「どうぞ」

 監視するということは、ある意味今日は松平瞳子と遊ぶ、ということになるのかな?

 まあいっか。

 軽く考え、わたしはふと松平瞳子の後ろへと目をむけた。

 そしてすぐに、目を逸らす。

 見てない。

 何も見てない。

 わたしは何も見てないぞ。

 黒髪の長い少女なんて。

 背の高い少女なんて見てない。

 ワラ人形を持った少女なんて、目の端に捉えてもいない。

 細川可南子なんて、見てない!

 大丈夫、あれは幻だ。

 きっと、疲れてるんだよ、わたし。

 昨日旅行から帰ってきたばかりだし。

 顔を真正面から見たような気がしたのは、あくまで気がしただけ!

 松平瞳子の後ろには、誰もいない!

 誰も、隠れてなんていない!

「・・・・・それじゃあ、行こうか」

 早く、この場から去ろう。

 無駄かもしれないけど、逃げさせてっ。

「お、お待ちください!」

 ああ、やっぱりついてきてる。

 佐藤聖曰く、背後霊がっ。



「どこ行きたい?」

「え?」

 驚いたようにこちらを見る松平瞳子。

「だから、これからどこに行きたい?」

「なっ、何をおっしゃっているのですか!?わ、私はあなたを監視しているだけです!」

「でもさ。一緒にいるのに、一人みたいに行動するのもどうかと思うけど」

 歩きながら、松平瞳子へと顔を向ける。

「で、ですがっ!」

「良いから。会話とかすれば、わたしがどんな性格かとかもわかるでしょ?」

 というか、2人一緒にいるのに会話しないなんて、まるで倦怠期の恋人同士みたいで嫌だ。

 別に、経験したことないけどね。

「・・・・・巳星さまは、変わっていらっしゃるんですね」

 うん、よく言われる。

 でもまさか、松平瞳子にも言われるとは思っていなかった。

 だって、ドリルだよ?

 わたしの上をいく、変わった髪型じゃん?

 あ、変わってるって肯定しちゃった・・・・・・。

 慣れだよ、慣れ(泣き笑い)

 はぁ・・・・・・・・・。

 とにかく〜

「どこに行きたい?何なら、お店回ろうか?」

 すると、何故か顔を赤くする松平瞳子。

「どうした?」

「なっ、なんでもありませんわ!!」

「あ、はい」
 
 思わず迫力に押された。

 元気だね。

「とりあえず、カフェにでも行こう。聞きたいことなら、そこで話し聞くから」

「はい!」

 元気良いな〜。

 松平瞳子に初めて会ったカフェに行き、アイス抹茶を頼む。

 松平瞳子はコーヒー。

「それで、聞きたいこととかある?」

「はい。巳星さまは、趣味はなんですか?」

 ・・・・・・・なにその質問。

 いや、別に良いよ?

 良いんだけど、君わたしに嫉妬してたんじゃないの?

 どういうことよ?
 
 良いけどさ。

 でも、趣味・・・・・趣味、ねぇ。

「体を動かすこと、かな?」

 運動好きだし。

「次は、好きなものと嫌いなものを教えてください」

 ますます何、その質問。

 なんか、普通に新聞部からインタビュー受けているような気分なんですけど。

 山百合会って不思議キャラ沢山いるけど、この子も不思議キャラだね。

「好きなものは、果物全般。嫌いなものは、基本的にないかな」

 本当は、嫌いなもの『柏木優』とか言いたいんだけどね。

 松平瞳子は、柏木優の従妹だからそれは言わないでおこう。

 うん。

 それから、似たような質問が何度か繰り返され、わたしもその度に答えた。

 いや、何というか、本当にこの子どうした?

 中には、お風呂の時に何処から先に洗うか。という質問までしてきたんですけど。

 それに答えるわたしもわたしだけど、する方もする方だと思うわけさ。

 というか、わたしを嫌っていたんじゃないのかい?

「・・・・・・・・今までの質問で、何かわかったの?」

 そう問うと、何故かハッとしたような表情になった。

 ・・・・・・もしかして、意味はないの?

 今までの質問って。

 答え損?

 うっわ、虚し〜。

「わっ、わかりましたわ!!」

 あ、よかった〜。

 意味なかったらどうしようかと思った。

「何?」

「や、やはり巳星さまは、青薔薇さまにはふさわしくありません!!」

 ・・・・・・・・・・・ふさわしくないのはわかってる。

 わかってるんだけど、今までの質問の何処でそれがわかったの?

 お風呂は何度の温度が好きか、なんて質問で何がわかったわけっ?

 あれですか?

 薔薇さまは、お風呂は40度以上じゃないとダメ、とかあるんですか?

 そんな細かい規則みたいのあったりするの?

 うわ〜、チョー知りたい。

 激しく知りたい!

 そして、チラチラこっちをみる細い川の人の真意を知りたい!

「そう。どこら辺が?」

「うっ・・・・・・。で、ですから!!」

「ですから?」

「っとにかく、全てですわ!!」

 そっか、全てか。

 って、全て!?

 全てが規則外だったってこと!?

 ・・・・・薔薇さまって、すげぇ。

 今初めて知ったよ。

 鳥居江利子達も、意外と苦労してるんだ。

 後で、鳥居江利子達に同じような質問してみよう。

 わたしはそう心に強く誓う。

「私が入学した暁には、巳星さまの本性を暴いてさしあげますわ!!」

 ・・・・・別に、本性を隠してるわけじゃないんですけど。

 普通に、ナチュラルなんですけど、わたし。

「頑張れ」

 とりあえず、応援しておいた。

 だって、これ以外の言葉って何を言えばいいわけ?

 期待してる?

 松平瞳子には無理だよ?

 その頃には忘れてるかも?

 いっそ、話題変えてみるか?

 あ、でももう言っちゃった後だし。

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ま、いっか。

 あれだ。

 世界は、不思議に満ちてるんだ、きっと。



 松平瞳子と別れたあと、水野蓉子達に同じ質問をしてみた。

 なんて言うか、バラバラですね。

 水野蓉子の嫌いなものが、仕事をさぼる友人。

 好きなものが、デ○ビタ。

 鳥居江利子の嫌いなものが、つまらないこと。

 好きなものが、面白いこと。

 佐藤聖の嫌いなものが、山百合会の書類。

 好きなものが、キムチ。

 どうよ、これ。

 チームワークとか、全然なさげな解答だったんですけど。

 もう、これだけの質問で、噛み合ってないよね。

 というか、好きなものがデカ○タって、どうみてもなんか変じゃない?

 いや、佐藤聖のキムチもどうかと思うけどさ。

 鳥居江利子は今更、って感じの返答だけど。

 良いんですか?この3人。

 って、それこそ今更だね。

 それより、この答えだと薔薇さまに相応しいわけ?

 ・・・・・・あ、わたしの解答が普通だったからか!

 納得。

 薔薇さまは、普通の人と違った解答をするんだよ!

 でもそれなら、相応しくないことは良いことじゃない?

 だって、わたしそこまで変わってないし。

 さすが、鳥居江利子達だね。
 



          

 

トップに戻る 小説入口へ戻る  目次  前へ  次へ


 

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送