<やっと言えた、ごめんなさい (ちびまるこ 二次)>







 辺りはもう暗い。

 月が、寂しさを紛らわせようとしているかのようにまる子を照らしている。

「たまちゃん・・・・」

 まだ小さな瞳を潤ませて、大好きな親友の名前を呟く。
 もう、5時間は待った。
 それでもまだ帰ろうとしないのは、きっと来てくれる、という思いがあるが故。
 けれど、その小さな体で、こんな寒いなか待つのは、やはり無理がある。
 いくら温かい格好をしてきたからといっても、子供の彼女にはひどく酷で、それは必然だったのだろう。
 彼女が、倒れるように体を横にしたのは。

 その時、見守るようにあった白い月が、色を変えた。
 蒼く、冷たさを感じるような色に。
 
 月は光の筋を伸ばし、まる子の体を包む。
 淡い蒼色の光に導かれるように、まる子の体が徐々に消えていく。
 それに誰も気づくこともなく、世界からまる子が消えた。


 それと同時刻、たまえの家に一本の電話が。

「はい、穂波ですが」

 でたのはたまえの父。
 受話器からは、まる子の母、すみれの焦ったような、そんな声が聞こえてきた。

『さくらですが、うちのまる子、来ていませんでしょうかっ?』

「あ、いえ。今日は来ていませんが。たまちゃん!」

 すみれに答えながら、こちらも慌てたようにたまえを呼べば、どこか意気消沈気味のたまえが部屋から出てきた。

「どうしたの?お父さん」

「いや、それが。まるちゃんがまだ帰っていないようなんだ。何か知っているかい?」

 それを聞き、たまえは目を見開くと、急に上着を着始め、外に行こうとする。
 それを何とか制し、父は真剣な表情でたまえに問いかけた。

「たまちゃん、まるちゃんがどこにいるか知っているんだね?」

「今日、神社で一緒にタイムカプセル埋める約束してたの!もう、帰ってると思ってたのに!!」

 受話器からは、それを聞いていたらしく、切れる音が聞こえた。
 父は受話器を置くと、たまえの手を引き家を飛び出した。

 向かった先は神社で、そこにはすでにさくら家全員が揃っており、大きな一本の木の前で何かを見つめるように地面を見つめていた。

「さくらさん!!」

 父の声に、全員が反応し、父とたまえへと目が向けられた。
 その表情は、まるで認めたくないものを見たかのような、それ。
 たまえの脳内で、警報が鳴る。

「これ・・・っ」

 すみれが指差した先には、一つの手提げ。
 それは、ここにいる全員が知っている、まる子の持ち物だった。

「っまるちゃん!まるちゃん、どこにいるの!?」

 たまえは父から手をはなすと、叫ぶように声をあげた。
 それに習うように、その場にいる者たちも辺りを見渡しながら声をあげる。

 結局、その日、まる子を見つけることは出来なかった。

「わたしが!わたしが約束を破ったからっ!!!」



「レイド!大変よ!女の子が倒れてるの!!」

「これは・・・・早く体を温めてやるんだ!リプレ、ガゼル、お湯を持ってきてくれ!!」

「うん!」

「ああ!」





 10年後。

「変ったなぁ、ここも」

 なびく長い髪を押さえながら、一人の少女が笑みを浮かべながら呟いた。
 見るものを圧倒するような、美しい少女。
 その少女がいるのは、かつて、自分が召喚されたその場所。
 すぐにでも、リィンバウムに還る予定で、もう一度だけ見たかった故郷。

 もう、当時の人たちには会えないだろうと思いながら、変らずに残っている巨木を見上げた。
 ふと、人の気配を感じ、少女は振り返る。
 そこには、三つ編みの、少女と同じ歳くらいの人間がいた。

「こんにちは」

 当たり障りなく声お投げかけ、微笑む。
 けれど、その少女から声は返ってこない。
 訝しむ少女に、その人物は急に駆け寄ってきた。
 驚く暇もなく、抱きしめられた身体。

「あの・・・?」

「まる、ちゃんっ!!」

「え・・・・」

 自分に抱きつき、体を震わせる彼女へと目を見開きながら向けた。

「まるちゃん!まるちゃん!まるちゃん!!」

「たま、ちゃん・・・・?」

 少女の唇が、震えた声をつむぎ出す。
 強くなった抱擁が、何よりの答え。

「まるちゃん、ごめんなさい!ごめんなさい!!」

 離すまいとしながら、必死に謝罪の言葉を続ける彼女は、少女、さくらまる子のかつての親友で、穂波たまえ。
 コンタクトにしたのか、当時の丸眼鏡はしてはいない。
 その言葉しか知らぬかのように、ずっと『ごめんなさい』と言い続けているたまえ。

「・・・・たまちゃん、良いんだよ、もう」

 たまえの記憶に残っているのは、自信満々で、ちょっと自己中で、でも面白いまる子。
 けれど、己の耳に伝わるのは、優しい、落ち着いた声。
 あの頃よりも、低くなった綺麗な声。

「あたし、もう怒ってないから。もう、気にしてないから」

 撫でられる背中。
 子供特有の丸い手ではなく、服の上からでも、細く長い綺麗な手であることが伝わってくる。
 それが、自分と離れた間の変化だと思うと、たまえの悲しみが、更に増す。

「たまちゃんに、最後に会えて、良かった」

「えっ?」

 弾かれたようにまる子を見上げるたまえ。
 そこで初めて、かつては同じくらいの身長だったまる子が、自分よりも高いのだと気付く。
 浮かんでいる笑みは、落ち着いた微笑。
 その笑みのまま、頬を伝うたまえの涙を、細い指先がぬぐう。

 状況に関係なく、たまえの鼓動を早くする。
 けれど、それほどまでにも、そこにいるまる子は、綺麗だった。
 美しかった。

「あたし、もう帰らないといけない。家族のもとに。大切な人たちのところに」

「っ嫌だ!嫌だよ、まるちゃん!やっと会えたのに!!まだ、一緒にいたいのに!!」

「ごめんね、たまちゃ----」

「良いじゃん、マルコ」

 まる子とたまえ、同時に声の聞こえた方へと顔を向ければ、そこには、まる子の大事な人たちの姿が。

「まるちゃん、この人たち・・・・」

「ハヤト、でも・・・・」

 たまえの声に気付かずに、まる子は困ったようにその人たちを見る。

「大丈夫ですよ。それに、私達も家族に会いたいですから」

「そうそう!一週間くらい、家族団欒を楽しみなって!」

「ナツミの言うとおりだよ、マルコ?それに、今生の別れのわけでもない。君は僕たちは、何時でもここに帰ってこられるんだから」

「アヤ、ナツミ、トウヤ・・・。そうだね、そうする」

 微笑むその瞳。
 たまえは、まる子が突如現れた人たちに微笑むその様を見て、嫉妬の炎を燃やした。
 そんな自分を変だと思いながら、これは自分がまる子の親友だからだ、と言い聞かせる。
 しかし、それが違うことは、なんとなくわかっていた。

「まるちゃん!」

「どうしたの?たまちゃん」

「行こう!」

 そう言って、まる子の手を引き歩き出したたまえ。
 それに困惑し、4人へと目を向けるが、返ってきたのは楽しそうな笑い。

「たまちゃん?」

 返ってきたのは無言。
 訳がわからなくなりながらも、それでも掴まれた手を振り払うことはしない。

「「「「「まる子!!」」」」」

 さくら家の人たちからの抱擁を受けて微笑むまる子を見つめながら、たまえは自覚する。

 自分の初恋はまる子で、そして、次に恋をしたのも、まる子だったのだ、と。




<以前日記に掲載した、ちびまる子(ドラマ)の二次です>

<サモンとクロス物>














<少しだけ (マリみて×GS)>






 世界は、バファリンと麻薬でできていると思う。


 江利子さんにそう言ったら、爆笑され。

 蓉子さんに言ったら、意味わからない、という顔をされた。

 聖さんに言ったら、失笑をくらった。


 そんな彼女達の反応から導き出された答え。


 私はどうやら、少し(?)変わっているらしい。





「人ってさ、長い間生きてても、自分のことを完全に理解できる人なんていないんだよ」

「それで?」

「だから、私がこの間、自分が少し変だ、っていうのに気づくのは、仕方がないことだと思うんだよね」

「・・・何が言いたいわけ?」


 呆れた顔の蓉子さん。

 私はどういえば良いのだろう、と悩む。

 どう言えば伝わる?


「・・・自分から見た私と、色々な人たちから見た私。そこはたぶん、一生一致することはないと思う」

「・・・それはそうね」

「うん。家族から見た私も、蓉子さんから見た私も、一致しない」

「ええ。それで?」


 しょうがないから付き合ってあげるわ、的な顔の蓉子さん。

 ・・・言葉って難しいね。


「いや、だから、蓉子さんたちから見て私が変でも、違う人達から見たら私は普通に見えると思うわけさ」

「そうかしら?」

「うん。絶対そうだって」


 というか、あの人達よりも変わってる、というのは受け入れない。

 あの人達に比べたら、私かなり普通の部類よ?


 まあ、蓉子さんがあの人達を見たら、もはや”変人”のカテゴリーに入ると思うけど。


「というわけで」

「どういうわけよ」

「私、転校します」

「そう。・・・・・はい!!?」


 わお、ノリツッコミ。

 だよね?


「嘘だけど」

「っあなたねェ!!!」






 リリアンには内緒でバイト。

 まあ、理事長は知ってるけどね。


「おはようございます」

『おはようございます、菊乃さん』


 玄関入って、2階にあがる。

 ドアを開ければ、いつもの光景。


「あんたは!いい加減マジで死ね!!」

『あ、菊乃さん』

「おはよう、おキヌちゃん」

『はい、おはようございます!』


 幽霊でも元気なおキヌちゃんと笑顔をかわして、ソファに座る。

 視界の隅に入る、ピクピクと痙攣する物体X。

 けど、後数分もすれば復活することを、私は知っている。


「来てたのね、菊乃」

「はい。お疲れ様です、美神さん」

「だから、名前で良いって言ってんでしょ?」


 ストレスを発散したのか、スッキリとした様子の美神さんは苦笑してそういう。


「いえいえ。年上の方を名前で呼ぶのはちょっと」

「年上って、たいして変わらないでしょうが」

「それはそうですけど、上司ですし」

『どうぞ、菊乃さん』

「ありがとう、おキヌちゃん」

『いえ』


 嬉しそうに浮かぶおキヌちゃんに微笑み返して、出してくれたお茶を飲んだ。

 とりあえず、不満そうな美神さんの鋭い視線を無視して。


「おっす、菊乃」

「うん、朝ぶり、忠にぃ」


 そして、先ほどの物体Xも何事もなく復活。


 アレだ。

 私の知る中で一番おかしいのは、やっぱり忠にぃだ。


『今日は、学校でどんなことがあったんですか?』

「うんとねぇ」


 今日あったことをおキヌちゃんに話していると、いつの間にか美神さんも隣に座って聞いていて。

 美神さんも、私の学校生活に少し興味があるらしい。

 自分も女子校だったのに、不思議だよね。


 そう言うと、女子校は危ないのよ、とか、あんたみたいなのはいい的、だとかよくわからないことをブツブツ呟く。

 軽く怖いので、初めのとき以来聞くことはしない。


 忠にぃは、女子校女子校うるさいし。


 やっぱり、この中では私は普通なんだと思う。

 カオスとか冥子さんとかエミさんとか。

 特に、忠にぃに比べて。


 でも、そんなおかしな人達と一緒にいるのが、とっても楽しいんだけどね。







 




<我儘な人達 (零〜紅い蝶〜)>







「・・・繭さんや」

「なに?」

「離してくんさい」

「いや」


 ・・・即答しやがった、この女!

 もういっそ、ウザイ、とか直球で言った方が良いのか!?

 いやしかし、繭は紗重以上に双子の妹を狂愛していた(過去形)女だぞ!?

 変なこと口走れば、まずいことになるのは必須!!

 命もあるけど、貞操も危ない!


 マイ天使!

 カムヒアーーーー!


「・・・お姉ちゃん、何してるの?」

「澪!」


 わたしの願いが届いたんだね!

 さっすが澪☆


「あ、澪。おかえり」

「帰って来たの一緒だけどね」

「あれ?そうだった?」

「うん。そんなことより、人の恋人に抱きつくの止めてくれない?」

「いや★」

「このアマ・・・」


 澪さん、すかさず射影機を取り出しました!


「まだ、紗重が憑いてるみたいだね」

『澪?私、ここにいるんだけど・・・』


 そのものずばり、空気な紗重さんが控えめに突っ込みます!


 平常時の紗重は、意外とお淑やかなんだぞーーー!

 繭のおかしさが移ってなくて良かったね、紗重!

 って言っても、さりげなく八重が繭似なんだけねーーー!


『何か言った?』

「ノッサー!!」


 八重さん怖い★(お前はウザイ


『えっと、大丈夫?』

「うん、ありがとう、紗重」


 心配してくれた紗重の頭をナデナデ。

 嬉しそうにはにかむ、もと血濡れの怨霊。


 人って、変われば変わるもんだね!

 人じゃないけどv


「あ、そうだ。ちーちゃん」

『なぁに?お姉ちゃん』


 ちーちゃんこと、千歳ちゃん。

 紅い着物で、とてとてと近づいてくる。


 怖がりだけど、繭と澪の戦闘(?)には慣れた模様。


「睦月と樹月は?」


 あの2人を止めるには、あの双子が必要なんだよね。


『お兄ちゃん達は、お部屋にいるよ』

「そっかー」


 ちーちゃんの頭もナデナデ。

 紗重のようにはにかむちーちゃんは、やっぱり可愛いね〜。

 それに和むよ。


『あの2人なら、呼んでこようか?』

「いや、良いや。まったりしてるみたいだし」


 別名、イチャイチャ。


 八重の申し出を断って、3人(?)を連れてキッチンへ。

 睦月たちがいない場合は、時間が経過するのを待つに限る。

 そのうち、自分たちしかいないのに気づいてやってくるでしょ。


『お姉ちゃん!千歳、”きゃらめるみるく”飲みたい!』

『私は”みるくてぃー”ね』

『私も、八重と同じで良い?』

「まっかせなさい」


 霊体であるちーちゃんたちも飲めるように、沸かす前の水にわたしの霊力を流し込む。


「さてさて、今回はいつまで続くやら」

『発端はあなただけどね』


 八重さん、それを言っちゃーおしまいよ★


 けどま。

 早く戻ってきてね、澪。

 寂しいから。












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