<さりげない嫉妬>





 舞う紅。

 場合によっては、致死量にも値するであろうほどの。

 だというのに、それは止まらず。


 床に広がる。


 ・・・・とりあえず。


「・・・鼻血を拭け、血気盛ん女」


 絶大なため息を。


 紅、鼻血を出す犯人は、超イイ笑顔で私の差し出したハンカチを受け取った。


「雪代さ、耳鼻科とか行った方がよくね?」

「アレが、医者に治せると思うか?」

「無理だわ」


 返ってきた即答。

 咲羽も同感なのだろう、だろ?とニヤリ笑い。


 ああ、なんてもったいない。

 あんなに綺麗な顔してるのに・・・(呆


 あ、ちなみに私たちは今、海へと来ている。

 桃太郎の生まれ変わりの桃園 祐喜。

 ”桃太郎”に出てくる、雉の生まれ変わりの雉乃木 雪代。

 同じく、猿の生まれ変わりの高猿寺 咲羽。

 またまた同じく、犬の生まれ変わりの犬飼 雅彦。

 そんでもって、”竹取物語”のかぐや姫の生まれ変わりである私。


 メンバーは私を含めた5人。


 幼稚舎からの知り合いである獣基の紹介のもと、桃君と私は知り合った。

 桃君とも気があったので、たいがいは5人での行動だ。


「あれ?そういえば、雅彦は?」

「あ?・・・どこ行ったんだろーな、あいつ」


 咲羽も知らないらしい。

 マジで、どこに行ったんだか。


「ちょっと、私探してくるわ」

「別に良いんじゃね?祐喜がよびゃあ出てくると思うぜ?」


 おいおい、同じ仲間だろ。

 なんて言葉は、今さらなので言わない。

 でも、これは言わせてもらおう。


「雅彦の扱いひどいね、相変わらず」

「普通だろ」


 返答は寂しいもの。

 まあ、仲が悪いわけじゃないしね。


「それより、お前の方はどうなんだよ」

「私?」


 くいくい、と顎で後ろを示され、振り返る。

 ・・・うわぁ・・・。


 殺気を立たせてこちらを睨んでくる雪代がいた。


「すげぇ睨んでんぞ?」

「咲羽をね」

「うぜぇから、どうにかしろ」

「命令かよ」


 でも、ま。


「桃君がいるし、すぐ機嫌直るっしょ」

「お前もたいがい酷いよな」

「そうかな?いつもの、桃君ラブの雪代見てたら平気な気がしない?」


 あー、と納得の咲羽。


「だいたい、いつもは恋人を放置してるのは雪代の方じゃん。なのに、咲羽と話してるだけで睨まれてもさ」

「確かにそりゃそうだ」


 悪い顔で笑う咲羽と一緒に笑う。

 もちろん、私は爽やかな笑顔で。




<雪代夢?>

 




<のんびりと?>







「祐喜殿ーーーvvvvv」

「あ、来た。飲み物買ってたんだね」

「みたいだな」


 ラブオーラ全開で駆け寄ってきた雅彦の手には、人数分の飲み物。

 めいいっぱい振られたシッポが幻視できるよ、雅彦。

 それと、そのしなった走り方は止めたほうが良いと思う。

 こけるよ?


 あっという間に咲羽が飛び蹴り。

 雅彦が買ってきた飲み物を強奪。

 それを、さも自分が買ってきたかのように、桃君に差し出してる。


 悪どいな、相変わらず。


「頑張れ、雅彦」


 砂に埋もれた雅彦を助けはしないけど、応援だけは小声で。


 ――― クイ


「ん?」


 振り返ると、雪代が水着の上から着ているパーカーを掴んでいた。


「雪代?」

「祐喜様がお飲み物を飲みたいと。行きましょう」

「え?でも今・・・」


 雉の獣基である雪代に軽く無理矢理引きずられ、その場から離されてしまう。


 いやいやいや。

 雅彦が買ってきたじゃん!


「ちょっ、雪代っ?」

「嫌?」

「嫌って、飲み物なら―――」

「私と一緒では、お嫌?」


 ・・・ああ、なるほど。


 私はため息をつき、悲しそうな顔で私を見てくる雪代の頭を叩いた。

 それに驚いたような顔をする雪代の手をとり、握る。


「軽くわかりづらいよ、雪代は」

「え?」

「はいはい。良いから行くよ」

「・・・ええ!」


 にっこりとした、綺麗な笑みを浮かべた雪代。

 そんな彼女に微笑み返して。

 ぶらぶらと、あてもなく。

 久しぶりの、短い数分だけのデートをした。


 この子の場合、自分が嫉妬してたなんて気づいてないんだろうな〜。

 ま、可愛いから良いけど。


「ってこら、人のコケル姿見て鼻血出さないでよ」


 助けろよ。






<・・・何が書きたかったんだか>

<雪代が雪代じゃないし(凹>









<モデル!?>





「・・・雪代って、いつか出血多量で死にそうだよね」


 いい笑顔の雪代の鼻血を拭ってやりながら、思わず呟いた。


「ケケケ」


 悪い笑顔で笑う咲羽。

 それにため息をつきながら、私自身にかかった鼻血も拭う。


「っていうか、雪代と桃君が付き合うことになったら、絶対に死ぬと思うけど、この娘」

「お、そりゃ見てみてーな」

「だが、実現はさせん」

「お前が言ったんだろうが」

「だって、これでも恋人ですから?」


 ぴよぴよと桃君の元へと向かった恋人を放置して、咲羽の隣に座る。


「大体、あの細い体の中に、どんだけ血があるわけ?」


 っていうか、あの噴出で、ナンパー失って、直後にナンパー創り出してるんだろうね、あの子の体は。

 軽い恐怖を感じるよ・・・。


「軽く、俺達の2倍はあるんじゃね?」

「軽く、ってところが恐ろしいね・・・」


 そして、否定できない。


「あ、いた!」

「本当だ、さすが宵藍ちゃん!」

「?宵藍に紅?」


 急にやって来た鬼ーズ。

 首をかしげていると、紅が私の前に屈んだ。


「あのね、頼みごとがあるんだ」

「ん?どんなこと?」

「実は、カメラマンから、学校の知り合いで綺麗な人に声をかけてほしいって」

「綺麗?だったら、雪代の方が・・・」

「良いのよ、あんな鼻血女。第一、あいつはあいつの傍から離れないでしょ」


 あいつ、あいつばっかりでわかるのは何故だろう・・・。


「わかったけど、何で私?悠歌(巴)のほうが綺麗だよ?」

「だってあたしたち、知り合いじゃないもの」


 ・・・「知り合い」のカテゴリーをそんな厳守しなくとも・・・。

 ま、まあ、理由はわかった。


「そこまで言うなら、いいけど」

「本当!?ありがとう!やったよ、宵藍ちゃん!」

「はいはい、良かったわね」


 って、理由聞いてないじゃん。


「ねえ、何で綺麗な子に声をかけてるの?」

「あ、言うの忘れてたわ。紅と一緒に写ってくれるモデルをやってもらうためらしいわよ」

「あ〜」


 なるほどね。


「・・・ってモデル!?」

「じゃ、そういうことだから。いくわよ、紅」

「うん。それじゃあね!今週の日曜日、迎えに行くから!」

「いやいや、ちょっと待って!」


 ・・・聞けよ!


「・・・(ニヤニヤ」


 咲羽のニヤニヤ笑いが、ここまでムカつくとは・・・(怒


「まあ、頑張れよ♪」

「・・・はぁ・・・」







<前回と同じ主人公で>

<かぐや姫の生まれ変わりなので、外見は大和撫子美人>

<続きます>









<撮影見学?>






 ・・・・・。


「なんでいるの?」

「こんな面白いもん、見逃すはずねーだろ」


 そうだった、こういう奴だった・・・。


 紅たちに連れられてやってきた、スタジオ。

 そこで衣装を着させられて戻ってきたら、何でかいた雪代たち。


「綺麗だよ〜」

「まあ、そうね。さすが、求婚者があとを絶たなかったって言われてるかぐや姫ね」


 のんびり笑顔の紅と、何故か満足気な宵藍。


 私が今着ているのは、十二単。

 宵藍も色づきの違う十二単。

 紅の服のイメージは、たぶん光源氏の主人公なのだろう。

 ってことは、私たちの役は侍らしている女性?


 嫌だね、それ。


 髪が青いくせに、似合ってるな宵藍。

 さすが美人。

 私、場違いじゃない?


 っと、近づいてきた雪代を、サッと避ける。

 きょとん、としながらも再び近づいてきたので、同じように避けた。


「・・・何故逃げるの?」

「いや、だって鼻血ついたら、弁償しなくちゃいけなさそうだし」


 そう言うと、ムッとしたような表情。


 だって、しょうがないでしょうが!

 こんな高いもの、買い取れないよ!

 いや、これでも家お金持ちだし買い取れるけど、いらないよ!


 ということで、カメラマンさんも来たので、雪代たちが見てる前で撮影。


「紅くん、2人の肩つかんで引き寄せて〜」

「2人も、もっと紅くんにくっついて」

「次は、紅くんを誘惑するみたいに、彼の頬に手を寄せてくれるかな?」

「次は、キスするみたいにお願いね」


 段々と増していく、カメラマンの要望。

 それに比例して、段々と増していく、雪代の冷たい空気。


 だからさ!いつも桃君と居るくせに、嫉妬深いんだよ、雪代!

 紅が泣きそうなんですけど!


「紅、落ち着いて」

「でっ、でも〜〜〜・・・ひぃっ!!」


 紅の耳に囁いて落ち着かせようとするけど、雪代が殺気を。


 落ち着かせることもできないのかよ!






<・・・長くなってしまったので、さらに続きます(汗>










<捕縛>






 ようやく撮影終了。

 紅は、このあと殺されるかもしれない。

 殺気を壮大に放っている、雪代に(汗


 まあ、確かにね。

 お互いにキスするギリギリまで、唇寄せたりとかしたしね?

 紅にしな垂れかかったりとかも、したしね?

 紅に膝枕したり、されたりとかもしたしね?


 だからって、スタッフ全員が気絶するくらい殺気出さなくても・・・(ため息


「あんたも災難ね」

「そう思うなら、雪代どうにかして」

「嫌よ。なんか、こっちにきそうだもの」


 ツン、とそっぽを向いて服を着ていく宵藍。

 私はもう一度ため息をついて、着てきた服を手にとった。


 ところで。


「来て」


 問答無用な雪代に、手を引かれて部屋の奥に連れて行かれてしまう。


「えっ?ちょっと!?しゃ、宵藍助けて!」

「それじゃあ、あたし部屋出てるから」


 見捨てられた!?

 こんな状態の雪代と2人きりにされたら何されるかわからないんですけど!


 ――― ダンッ


「っつ・・・」

「あなたは、私のものよね?」


 ゆ、雪代にこんなこと問われる日が来るとは。

 キャラ違うだろ!?


「答えて」

「答える必要、ある?」


 あえて問い返すと、雪代はにっこりと。

 ・・・こっわい笑みを浮かべました。


「答えてくれないのなら、身体に聞くわ」


 エロ漫画みたいなセリフ!?


「ちょっま―――!!」


 その後のことは、もはや悲惨。

 口には出せません。


 それにしても、

 あの子が、ここまでするとは・・・。

 っていうか、雪代って意外とS・・・。


 想われてる、って思えば良いのかな・・・(遠い目

 いつもは桃君第一のくせに!






<意味不明です、ゴメンナサイ(汗>

<雪代、偽物過ぎ・・・>




 




<恐ろしいです(桃組+戦記)>







「・・・・・・・」

「・・・・・・・」


 お互いに見つめあい。

 自然と、お互いの距離が縮・・・。


「むわけないだろ!!」


 慌てて距離をとる。


 あーもう、怖い!

 もう超怖い!

 こっち見るなーーー!!


「王子様・・・」

「違うから!全然違うから!っていうか、雅彦が王子じゃないの!?」(6巻にて)

「ヘタレはいらない・・・」


 わぁ。ちょー可哀想・・・。

 けどごめん雅彦、否定できない。


 にしても、この子は何者なんだろう。

 あんなに綺麗なのに、通常状態(?)があんなに怖いなんて。

 どうやって妖怪顔負けなあの姿になってるの?

 すっごい知りたい。


「とにかくさ、ショコラ。私恋人いるから」

「っ!?」


 凄いショック受けた顔してるけど。

 さすがに、好きでもない人とは無理だよ、私。

 それに、たまに嫉妬で鬼畜はいる雪代だけど、ショコラよりは、ね?

 あ、失礼?


「というわけで、お友達、ってことで」

「・・・友達・・・・友達・・・」


 ぶつぶつ呟いたあと。


「無理だ」

「否定!?」


 何で!?

 桃君はそれで良かったじゃん!

 桃君は良くて、なんで私は駄目なの!?


「あなたとは、恋人が良い!」

「ちょっ!」


 凄い勢いで突進してきたショコラ。

 それを慌てて避ける。


「・・・馬車に閉じ込めてしまおうか・・・」


 怖いわーーー!!


「そうすれば、王子様は私のもの・・・」


 ひぃっ!!


 怖すぎて悲鳴が口から出ないよ!!

 だだだ誰か助けて!!


「ずっと一緒だ・・・」


 また突進してきたーーー!!


「させない!」


 その時、雪代の声が聞こえて。

 同時に、浮いた身体。

 それがどういう意味か、瞬時に理解して。


「っ雪代ーー!!」


 私は、雪代の首に腕をまわしてすがりついた。


「怖かったよーーー!」

「私がきたから、もう大丈夫よ」


 頭を撫でられて。

 その安堵から、私は意識をブラックアウトさせてしまった。


 今日の教訓。

 国際科は恐ろしい。

 雪代、惚れ直すくらいカッコイイ。








<やはり、何が書きたかったのか・・・(汗>

<桃組の6巻を読んだのが理由です(凹>











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