<キラキラキラキラ>








 キラキラキラキラ。

 意味のないイルミネーションが輝いている。

 その中を、あたしは走る。


 もっとも、そんなあたしの姿を視ることができる奴なんて、いないだろうけど。


 キラキラキラキラ。

 隙間から入ってくるイルミネーションに反射する液体。

 七色に輝く。


 こっちの方が、綺麗だ。

 それに、あたしにはお似合い。


 本来なら紅色のそれが、人工的な光りで輝く。

 綺麗だね。

 凄く、綺麗だ。


 今日は、楽しいクリスマス〜。

 はしゃぎまわる人たちの片隅で、ただの肉塊になる奴ら。

 う〜ん、楽しい!

 依頼されてないけど、他の奴らも狩っちゃおうかな〜?


 キラキラキラキラ。

 人工的なあんなのより、こっちの紅の方が綺麗。


 キラキラキラキラ。

 輝く血しぶき、綺麗だな〜♪




<一応、壊れはやてです>








<嫌い、大っ嫌い>






 痛いのは嫌い。


 殴られるのも、

 蹴られるのも、

 痛い言葉を向けられるのも。


 全部、全部大っ嫌い。


 だから、嫌いなもの全部請け負ってくれる、あたしじゃない誰かを創ることで自制を保ってきた。

 それによってできた、もう1人のあたし。

 気がつけば、それは一人歩きをして、あたしの中に一つの人格を作り出していた。


「やーい、親無し!」

「可哀想な可哀想な親無し」

「ねえ、何で生きてんの?」

「うるせぇよ、吠えることしかできねぇガキが」

「なんだとこの野郎!!」

「来いよ。それとも、キャンキャン口だけか?」


 もう1人のあたしは、口が悪い。

 それも、かなり。

 それと、あたしと違って人を傷つけることに罪悪感はないみたい。


 違う、あたしがそういう人格を産んだんだ。

 だって、耐えられなかったから。


 けど、凶暴な彼女も、あたしには優しいんだ。

 傷つけることに何も感じない彼女も、あたしの味方なんだ。

 あたしだけの、味方なの。


 あたしが怖いと感じたら、

 痛いと感じたら。

 すぐに交代して、代わりに対応してくれる、優しい人なんだよ?


 だから、

 だからさ、綾那。

 そんな目で、あたしを見ないでよ。


 ようやく。

 本当にようやく、この人以外で心を許せる人が現れたと思ったのに。


 ねえ、お願いだからさ。

 怯えた目で。

 気味悪いものを見るような目で。

 そんな目で、あたしを見ないでよ。


「綾那・・・・」

「来るな!」

「ねえ、どうして?どうして?綾那・・・・」

「お前は、私の知ってるクロじゃない!」

「あたし、綾那の刃友のクロだよ?なんで、そんなこと言うの・・・・?」

「私の名を呼ぶな!!」


 なんで?

 あたしはただ、普通の生活がしたいだけなのに。

 普通に、”友達”っていうのと笑ったり、遊んだりしたかっただけなのに。


「・・・・そうかよ」


 入れ替わる人格。

 優しい、初めての友達。

 優しい、初めての味方。


 けど、


「なら、死にやがれ!!」


 あたし、もう死にたいよ・・・・。




<なんか、本当に意味不明>

<一応、はやてです。二重人格ものの>







<苦しそうに、嬉しそうに>





 クロと私の関係は、複雑になった。

 そんな、混乱するようなものでもないけど。


 だいたい、クロも私も、以前と同じ。

 でも、私は時間を見つけては、クロを抱くようになった。

 クロがそれを拒絶することもないし。

 私があの子を、拒絶しないことに叱咤することはない。


 ただ、勝手に口から出る、想いを言葉にするだけ。


「クロ・・・」


 訛り口調の、こいつのルームメイトを追い出して、

 私は、クロを抱きしめる。


「綾那・・・」


 前に回した私の手に、クロは手を重ねて小さく呟いた。

 それは、私以外の知らない声。

 空気が読めないいつもの馬鹿らしさのまったくない、声。


 苦しそうに。

 辛そうに。

 吐き出すその声。

 それは、私には酷く扇情的なものとして、鼓膜を震わす。


 気づかなければ良かったのに。

 私も。

 こいつも。


 そうすればきっと、こいつはこんなに自分を傷つけないで済んだはずなんだ。


 けど、今さら知らない振りは出来なくて。


 だって私は、クロのその声に宿る想いが、

 とてもとても、欲しかったんだ。


 愛してると言うと、こいつは泣き出しそうに。

 好きだと言うと、こいつは苦しそうに。

 クロ以外いらないというと、こいつは辛そうに。


 嬉しそうに、笑う。


「クロ、クロ・・・はやて・・・」


 抱きしめて。

 その頬にキスをして。

 抑えきれない想いを、ぶつける。




 お願い、はやて。

 泣かないで・・・。





<二次のはやブレの【謝らないで】の続編です。>

<もちろん、綾那×はやて>









<隠した心>







 あの人が笑うようになったのはいつからだっただろう。


 笑顔といっても様々で。

 感情を隠さずに浮かべる笑顔。

 心を隠して浮かべる笑顔。


 私は、はやての後者の笑顔が大っ嫌いだった。

 だって、本心では笑ってないことを知っているから。

 だって、まるで道化のように笑うその笑顔の裏側を知っているから。


 ようやく天地学園にやってきて、あなたが浮かべていたのは道化師の笑顔。

 それが見たくなくて、私は妹から、はやてから目をそらした。


 はやての姉だなんていっても、結局私は護られてばかり。

 確証はないけど、たらい回しにされた孤児院で。

 あなたは、他の子達が何かを言おうとするといつも私の手を引いて逃げて。

 飛び出した孤児院でも、何か理由があったんでしょ?

 今なら、なんとなくわかる。

 本当は私を凌ぐ実力があるのに、私より弱いというその位置を甘んじて受け入れて。


 そうやって、何もかも背負って、護ってくれた。


 知ってる?はやて。

 私は、あなたが好き。

 それはね、本来想ってはいけない感情。

 心の奥に隠すべき想い。


 それでも、私はあなたが好き。

 あなたを愛してるよ。


 だから、そんな切ない声で私の名前を呼ばないで。

 想いが、溢れてしまうかもしれないから。

 蓋なんて、意味をなさないくらい。


 だから、他の女の匂いなんて、まとわないで。







<前回の続編です、一応>

<凪の口調を知らないのに凪の独白>

<すみません、サラッと流してやってください(汗>












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