【嫉妬心と興奮と】
サニー号で初めての宴会。
船長さんは船医さんや長鼻くんと騒いで。
コックさんは忙しそうにしながらも、笑って料理を運んでいる。
新しく仲間になった船大工さんは弾き語り。
そして、航海士さんは剣士さんと飲み比べ。
剣士さん=お酒の図式がつくけれど。
意外と、航海士さんも酒豪。
ほろ酔いまでは見たことがあっても、泥酔まで見たことはない。
けど、頬を染めた潤み目の航海士さんはとても色っぽい。
みんなといさせるのは危険じゃないかって、そう思うくらい。
みんなを信用していないわけじゃないけど。
それでも、お酒は理性を著しく崩壊させてしまうから。
ほら、ああやって剣士さんの肩に頭をおいて。
今すぐ、攫ってしまいたくなる。
「・・・ニコ・ロビン、眉間にしわがよってるぞ?」
なんて、船大工さんにも注意されちゃう。
気にしないで、なんて言葉、意味がある?
私は彼女へと近づいて、膝をついた。
「航海士さん、飲みすぎよ?」
「祝杯よ?新しい船に。新しい仲間に」
だから大目に見てって?
駄目。
けど、この体勢なら大目に見てあげる。
そっと彼女の細い肩に手をまわして、自分の肩によりかからせた。
それを見て、剣士さんがニヤニヤ笑ってくる。
「どうかしたの?」
そう、澄ました顔を浮かべて。
けど、バレバレみたいで、剣士さんの笑みは継続。
あまり、大っぴらに行動するつもりはなくて。
だって、少数人数の船の中。
あたりは彼女の好きな海と空ばかり。
節度は守りたいだなんて、思っていて。
それなのに、予想外に強かったらしい私の独占欲が。
それを許してはくれないの。
「ロビンは?飲まないの?」
「飲んでいるわ。あなたほど飲まないだけ」
「ふ〜ん」
気のない返事をして。
そんな彼女と船医さんの目があう。
それから、航海士さんは船医さんを笑顔で手招き。
ここに、私がいるのに。
笑顔で駆け寄ってきた船医さんが差し出す、おつまみ。
航海士さんはそれを笑顔で受け取って、帽子を撫でて。
それに嬉しそうに笑いながら、船医さんはしっかり釘をさす。
「ナミ、あんまり飲んだら駄目だぞ?ロビン、ちゃんと見張ってろよ?」
「ええ、任せて」
「うわ、酷いコンビ」
だなんて、航海士さんは口を尖らせて不満そう。
それを可愛いだなんて思うのは。
やっぱり、末期なのかしら?
違う、今さら。
船医さんが船長さんたちのところに戻ると、航海士さんはお酒を床において。
頭を、私の膝の上へ。
私はそんな彼女のオレンジを、そっと撫でる。
前、剣士さんの太ももに頭を乗せていて。
それを見たときは、身体が一気に冷えて。
頭が、沸騰するかと思った。
「航海士さん、寝たら風邪を引くわ」
そっと上着を、彼女の身体にかける。
返ってくる笑顔。
いつもと違う、ふにゃりとした笑顔。
薄く色づいた頬。
瞳も、酔いでかすかに潤んで。
誘ってる?
ねえ、航海士さん。
オンナも、狼なのよ?
「襲うなよ?」
「さあ、どうかしら?」
ニヤニヤ笑いの剣士さんにそう返して。
でも実は、本心だったりして。
「航海士さん、起きてる?」
「そこまで酔ってないって」
ぺしぺしと太ももを叩かれて。
「セクハラ」
「どっちが」
即答された言葉に、少し言葉に詰まってしまう。
その会話に声を上げて笑う剣士さんを少し睨んで。
柔らかすぎる、
その可愛らしい笑顔の主の髪を撫でた。
新しく出来た図書室。
そこには、出発前だからと乱雑に本棚に入れられた本がある。
ほとんどが、私と航海士さん、船医さんのもの。
今私は、それを整理していた。
そうして、ふと見つけた航海士さんの航海日記。
日誌ではなく、日記の方。
好奇心におされて床に座り。
開けてみれば、見知った。
大好きな彼女の文字。
”麦わら”になってからの日記。
読み進めていくうちに、胸が痛くなる。
そこに書かれたたくさんの文字達。
特に多いのは。
”理解できない”
そんな言葉。
彼らの思考が理解できない。
彼らの行動が理解できない。
彼らが何故笑うのか理解できない。
理解できないという、たくさんの文字に埋め尽くされた日記。
偽りを浮かべながら思っていただろう、航海士さんの内側。
でも次第にそれは、彼らにではなく、書いている本人へ向けられた言葉になっていった。
ワクワクするようになった自分への。
”楽しい”と感じるようになった自分への。
”もっと一緒に居たい”と思うようになった自分への。
【目標の金額に届いた。おりを見て、ココヤシ村に帰ろう。もう、彼らに用は無い】
淡々と書かれた内容。
それなのに、私にはその文字がとても苦く見えた。
苦しかった。
彼女の苦しみが、手にとるようにわかって。
自身の過去と、重ねてしまうから?
それは、その後から書かれてはおらず。
私は、他の日記を探す。
明るい。
今の彼女らしい日記を、とにかく読みたかった。
そして見つけた新しい日記。
それは、あのお姫さまが乗船してから少ししてからのが書かれたもののよう。
その前のものを探そうという気にはならず。
知りたい。
知りたくない。
お姫さまと航海士さんの日々。
それは、私の心を離さない。
けれどそれは、上からスッと奪われた。
「あ・・・」
「なぁに読んでるのよ、あんたは」
「・・・航海士さん」
ホッとしたような。
残念なような。
そんな私に気づいていない鈍感な彼女は、それを棚に入れてしまう。
「こんなの読んでも、つまんないわよ?」
「そうかしら」
「だって、自分で読んでもつまんないって思うもの」
よっと、なんて声をかけて、彼女は私の後ろから本を取ろうとする。
肩におかれた手。
背中に感じる、航海士さんの体温。
それと、柔らかさ。
上昇する体温。
うるさく鳴る心臓。
私、まるで10代の女の子みたい。
「ねえ、ロビン」
少し低めの。
少し高めの。
心地の良い、素直に愛しいと思える声。
「悪いんだけど、その本とってくれない?」
肩から伸ばされた指が示す、一冊の本。
私は従い、その本を抜き取って。
「ありがっ・・・どうしたの?」
彼女の腕を引き寄せて、腕の中へ。
訝しげに。
私の起伏なんて気づかない彼女は、私を見上げるだけ。
変わった彼女。
以前の彼女は知らないけれど。
その内側に眠るモノは、たぶん今も彼女の中に。
見えないだけで、きっと。
そんなところが可愛く思えて。
愛しいと、感じる。
頬をなでると、
・・・何故呆れ顔?
「色魔」
「違うわよ。ただ、キスしたいだけ」
有言実行。
傷つけないように軽いキスを。
けど、想いのたくさんこめたキスを。
というか、あなたの中で私は一体どういうイメージなの?
いつもいつもそういうこと考えているわけじゃないのに。
「ん・・・は・・・っ」
啄ばむようなキス。
あくまで受身の彼女。
それに不満はないけれど。
拒絶されないだけ、気持ちが良いと思っていてくれているのかと思うけれど。
――― カリッ
その音の先、目を向けて。
爪を立てて、床を引っ掻くその細い手。
身体が、震えた。
前言撤回。
ごめんなさい。
私はどうやら、そんなことばかり考えているみたいです。
とても、興奮した。
あとがき。
うちのロビナミは、基本的にロビン→ナミな感じで。
それに、他のサイト様を見ていると暗いロビンが多いので、ナミのほうが暗いのを書きたかったv
それと、ロビンさんは今回や包帯姿とかマニアックなところに興奮すれば良いと思う(アホだ・・・
そして、続きを書かない可能性が大という体たらく・・・(凹
ブラウザバックでお戻りください。
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