【生きるために】
「航海士さん、何か飲み物いる?食べ物もあるわよ?」
「ロビン、ちょっとうるさい」
「・・・・・・」
うるさいと言われ、黙った。
そんな私の鼻をつまみ、笑う航海士さん。
「しょんぼりし過ぎ、それと心配しすぎ」
「けれど・・・」
「良いじゃない、別に。死ななかったんだしさ」
なんでもないことのように言ってくれるわ。
私がどれだけ心配したかなんて、知りもしないで。
私は腹が立ち、彼女の上に馬乗りになった。
「?ロビン?」
「お仕置き」
「・・・鼻つまんだ?」
「違うわよ」
もう、あなたこそズレてるじゃない。
本当に何もわかってない顔して。
「私を庇った罰よ」
「なら、私はこれから先たっくさん、そのお仕置きをされなきゃならないわけね」
「・・・どういうこと?」
航海士さんの服をめくり上げる手を止めて、彼女を見た。
目に映るのは、悪戯っ子の笑み。
「だって、私は、私たちはこれから先何度でもあんたを庇うわよ?」
「・・・・・・」
「私たちは、”麦わら海賊団”の仲間だもん」
ペシペシ、と伸びてきた手に頬を叩かれる。
その顔に、笑みを浮かべたまま。
「あんたが何を抱えてるかなんて知らないけどね、ロビン。私たちを甘く見ないことね」
私は今、どんな顔をしているのだろう。
けれど、情けない顔になっているような気がして。
私は、航海士さんの首筋に顔をうずめた。
眼下に見えるのは、私の”仲間”たち。
ここまで追いかけてくれた人達。
彼らは、”象徴”さえも打ち抜き。
全世界を敵に回すことさえ、望むところだと、叫んだ。
私を、取り戻すために。
もう私は彼らに、来ないでとは言えなかった・・・っ。
ただ一つ言えたのは。
「生き゛たいっ!!!!私も一緒に、海へつれていって!!!!」
語ることを許されなかった本心。
こんなに涙を流したのはいつぶり?
こんなに、思われたのはいつ以来?
「なんなんだお前らは!!世界中の国を敵に回すんだぞ!!?わかってんのか!!??」
「あんたこそ、馬鹿じゃないの?」
航海士さんの声が届く。
力強い声。
力強い笑み。
「私にしたら、あんた達”正義”が悪よ?当然でしょ?だって私たちは、海賊だもの!
私たちは、そんな頭の狂った”悪党”から、大切な仲間を取り戻しにきた ただの”小悪党”よ!!」
「航海士さん・・・っ」
今の私の気持ちを言葉にするとしたら。
あなたに、惚れ直してしまいそう。
そんな、馬鹿みたいな気持ち。
今がどんな状況か、わかっているのに。
「言ったでしょ、ロビン!私たちを、甘く見ないでって!!・・・ルフィ」
「おう!!みんな、行くぞ!!!!」
船長さんの言葉に、みんなが力強い返事。
私は涙を流しながら、そんな彼女達を見つめた。
それに気づいてくれたらしい航海士さんは、私に向かってウィンク。
それから、悪戯っ子の笑みを浮かべて。
「あ、そうそう。知ってる?そうやって高いところにいるのが好きな奴は、ちょっと真面目な馬鹿なのよカリファ♪」
「っ無礼者!!」
・・・最後に挑発する航海士さん。
思わず笑ってしまった。
「あの子はまったく!」
?
その声に、私は何か引っかかりを感じた。
なにか良くないものを感じ取った。
主に、航海士さんに関わる何かを。
そう、女の勘。
「そういやカリファ、お前さん妙にあの娘っこを気にしておるようじゃったが?」
「くだらないわ、カク。敵は敵。でしょう?」
・・・航海士さん、あなたあの女に何をしたわけ?
そんなことを考える状況でもないのに、そんなことを思った。
こんな時に、嫉妬している場合ではないのに。
もちろん、惚れ直している場合でもないけれど。
・・・無事に彼女達のもとに戻ることができたら、聞いてみよう。
航海士さんが、あの女に何をしたのか。
心配なんてしない。
きっと、彼女達は私を助けてくれる。
だから私はただ、それまでに抵抗するだけ。
抵抗して、時間を稼ぐだけ。
だって私はまだ。
航海士さんに、”愛”を教えていないもの。
あとがき。
唐突にエニエス・ロビーが入りました。
混乱させてしまいましたらすみません(汗
ブラウザバックでお戻りください。
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