【私が出来るまで】
色鮮やかだった世界は、私が10歳の時崩壊した。
別段、珍しくもなんともない。
海賊に村を支配された、なんて。
その時、母親を目の前で殺された、なんて。
そう、このご時勢どこにでもある。
あってもおかしくはないこと。
そして、私はその日、アーロンたちから村を取り戻すために、私の全てを悪魔に売り渡した。
ずっと独りで部屋に閉じ込められ、本から収集した情報から海図を描き。
ようやく外に出られたとしても、村の人達からは白い目で見られ。
何百枚という海図を描き終えたあとは、海に出てお金を手に入れるために海賊専門の泥棒をした。
そんな荒んだ生活の中、一つ発見したことがある。
あの日。
大好きなベルメールさんを殺されて、アーロンたちにムリヤリ一味に加えられた日。
私はずっと、思っていた。
私は全てを捨てた、と。
プライドも、
幸せも、
私という存在も。
だから、何でもできると思っていた。
けど、そうじゃなかった。
甘かったのかもしれない。
無意識に、そこまでされないと思っていたのかもしれない。
だってあいつらは、私たち人間を見下していたから。
私たちを下等だといつも言っていたから。
自分達を素晴らしい生き物だと、言っていたから。
きっと、私は全てを捨てたつもりで。
捨てきれてはいなかった・・・。
<ノジコ 視点>
あの日、ベルメールさんが殺されて。
ナミの心が、殺された日。
あたしは、強くなろうって誓った。
泣き虫なあの子が、あたしの傍にいるときくらいでも笑っていられるように。
村人達から軽蔑されても、みんなを護ろうとするあの子のために。
力をじゃない。
心を強くしようと誓った。
ナミ、本当は知ってるんだよ?
みんな、あんたの気持ちわかってるんだ。
けど、それを表に出してしまったら、それでなくても重荷を背負っているあんたにいらない荷物背負わせるからって。
もし今に耐えられなくて逃げ出したくなった時、私たちのこと考えずに逃げ出せるようにって。
だから、みんな黙っててくれてるんだよ?
だからいつか、あんたが幸せに笑えるようにって。
そう思ってたのに・・・。
あれは、変わらない日常だった。
アーロンたちがやって来てからは、あまりみんな笑うことはなくて。
そんな、変わらない日。
あたしはベルメールさんの眠る場所にいって、今日のことを報告しようとお墓に向かった。
夕方で、そこにはいつもなら外に出してもらえないはずのナミがいた。
ボロボロの服を纏った。
その後ろ姿はまるで、今にも首を掻っ切りそうな。
今にもそこから身を投げそうな。
そんな、危うさがあった。
持ってきた蜜柑を、放り投げて。
あたしはナミに駆け寄った。
ナミは、まるで感情が削げ落ちたような。
アーロンの一味になってからでも見ることのなかった、
暗い暗い表情をしていた。
その頃のあたしは15歳で、何が起こったのかを無意識に理解してた。
理解できてしまった。
その瞬間、みっともなく涙が溢れて。
自分がナミの立場だったわけでもないのに、大声を上げて。
ただ静かに佇むナミを抱きしめた。
どれくらい経ったかわからない。
あたしの涙は止まらなかったけど、声は出さなくなったころ。
ナミが、ポツリと呟いた。
抱いてほしいと。
周りから見れば、あたしのしたことは適切じゃなかったのかもしれない。
姉として、抱きしめて慰めて。
ナミを、泣かせてやるべきだったのかもしれない。
けど、あたしはそうしなかった。
あたしにはそれが、唯一あたしのできる、この子を救う手だとわかっていたから。
きっと、完全に心を砕かれたこの子が、唯一壊れない方法だとわかったから。
それ以来、ナミはお金を得る方法を少し変えた。
アーロンたちにレイプされて、あの子は身体を使うようになった。
好きでもない相手に身体を開く行為さえ、何も感じなくなったように。
そして、あたしのもとに帰ってくるたびに、抱くことを願うようになって。
あたしはそんなナミを抱きながら、いつも誓った。
この子の、唯一自我を保てているその優しい心を、あいつらが踏みにじった時。
あたしは、命を捨てようと。
そう。
今が、その時。
あとがき。
ふと、思いついたパラレル二次。
このお話しは、原作でナミが本当の意味で仲間になるお話しを軸に書きました。
これは連載ではありませんが、プロローグ的なものです。
ナミ視点は13歳くらいまでのを。
ノジコ視点は、ルフィたちがココヤシ村に来たときまでを。
ただ急に、ビビとロビンにナミを取り合ってほしいな、なんて思ったからでして。
というわけで、原作無視のMAX捏造でいきます。(いつものことじゃん)
ブラウザバックでお戻りください。
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