【時は流れ】
初めてエヴァンジェリンさんと寝た日以来、彼女からエヴァと呼ぶことを許してもらいました。
むしろ、いつまで長ったらしく呼ぶつもりだ、といわれたです。
というわけで、現在はエヴァさんと呼んでいます。
私はどうやら、やはり一般とは違うらしく、性行為というものにそれほど意味があるとは思っていませんでした。
元々恋愛ごとに興味がなかったこともありますし。
ですが、そんなことないのだと、今では思います。
快感?
いえ、それは確かに感じましたが、肌を重ねることで今以上に仲良くなれた気がしたのです。
私にとって、そちらの方が重要でした。
まあ、それは置いておいて、今は、夏です。
夏といえば、夏休みです。
この長期休みの間に、魔法のスキルアップと読書に勤しむことにしています。
そして今、私は同じバカレンジャーである長瀬さんと、手合わせをしています。
というのも、エヴァさんからの指示なのです。
もちろん魔法などは使わず、純粋な体術のみで。
どれほど私の体術で通用するのか、それを理解するためだと。
「・・・いやはや、リーダーには驚かされたでござるよ」
「真名さんから聞いていないんですか?」
「ああ。夕映は隠していたから、あまり知られたくないんだろうと思ってね」
手合わせを終え、休憩している私の質問に、見学していた真名さんが答えました。
同じく見学していた茶々丸さんから、ポットで持ってきてくれたらしい紅茶を受け取ります。
「夕映殿は、古と同じ?」
「はい、5歳くらいから習い始めました」
「なるほどなるほど。今日は、色々と勉強になったでござる」
ちなみに結果は、私の勝ちでした。
麻帆良に入った当時の実力では、きっと勝てなかったでしょう。
ですが今、エヴァさんから修行を受けている身。
ましてや、外での1時間が中での1日、という規格外の別荘での修行をしているのですから、長瀬さんよりも強くて当然です。
むしろそれで勝てなければ、確実に私に才能がないということです。
エヴァさん自身もそうおっしゃっていましたし。
もっとも、やはり隠密に関しては長瀬さんのほうが上ですが。
本人は認めていませんが、忍者ですし。
「これからもたまに、手合わせをしてもらえると嬉しいです」
「拙者のほうこそ強い相手と戦えるゆえ、願ってもないことでござるよ」
「ありがとうございます」
長瀬さんたちと別れた後は、エヴァさんと茶々丸さんも一緒に探検部の活動です。
今日はお2人の部活のほうもお休みなので、こちらに来てくれるそうです。
今回は茶々丸さんもいますし、エヴァさんが罠に嵌りまくることもないでしょう。
「夕映ー、おはよー」
「はい、おはようございます、木乃香」
もはや”こんにちは”の時間帯ですが、どうでも良いことです。
その後、のどかやパルもやってきて、みんなで図書館島へ。
そこでのエヴァさんはというと。
「んがっ!?」
「こなくそ!」
「なんで私ばっかり!!」
残念なことに、罠にはまりまくっています。
ですが、茶々丸さんが注意をしているにも関わらず、何故こうも?
「マスター、わざとですか?いえ、わざとですね?」
「んなわけあるか!!」
いつもと変わらない茶々丸さんの声が、咎めているように聞こえました。
それにしても、今の会話にデジャヴを感じるです。
はて、何故でしょう?
「エヴァちゃん、前も思ったけどドジッ娘属性なんだね〜」
「いつもと全然ちゃうんやなー」
「そうだね・・・」
パルはおかしそうに、木乃香はのんびりと、のどかは苦笑をこぼして笑っているです。
そんな彼女達をエヴァさんは睨みつけてますが、涙目では全然怖くないですよ。
そんな風に夏休みを過ごし。
夏休みの最終日を迎える頃には、ずいぶんと私も強くなりました。
時間があれば別荘を使っていたため、結果みんなよりも1歳上にもなってしまいましたが。
まあ、それくらいならば誤魔化せるでしょう。
真名さんや楓さんといった、14歳には思えない人達もいるですし。
そして、私たちは夏休みの最終日、プールへとやってきました。
エヴァさん達は今日は部活があるため来ていませんので、私たち3人と、木乃香、明日菜さんも一緒です。
もちろん、木乃香のストーカー(護衛)として、刹那さんも来ているようですが。
「ねえ、ゆえゆえ」
「なんですか?のどか」
「あ、あの、ね?」
のどかはなにやら口ごもり、目線をうつむかせます。
それに首をかしげてのどかを待ちますが、いっこうに次の言葉を言ってはくれません。
どういうことでしょうか?
「のどか?」
「そ、そのっ」
顔を赤くして、なにやら胸元を見てきます。
なんでしょう?
「あんな夕映。のどかは、夕映の胸が大きくなったな〜、って言いたいんやと思うえ」
「胸、ですか?」
「う、うんっ。最近、特に夏休みにはいってからっ」
おお、のどかはよく見てるですね。
そうなんです。
最近胸が大きくなりまして、この間もエヴァさんと茶々丸さんにブラをするべきだと言われ、買いました。
私がたくさん揉んでやってるおかげだな、だなんてエヴァさんからセクハラめいたことも言われましたが。
「ウチもそれ思ったえ。それに、背も伸びとるやろ?」
「そうですね。1年の頃は130センチ強でしたが、今では150センチ弱まで伸びたです」
「初めて見たときはこーんな小さかったのにな〜」
木乃香が自分の腰辺りを示します。
そこまで低くなかったです。
私は久しぶりに会ったあなたの孫ですか。
「どうやって、大きくなったの・・・?」
顔を赤くしながら問いかけてくるのどか。
恥ずかしいのなら聞かなければいい、と思うのはおかしいでしょうか?
それにしても、大きくなった理由ですか・・・。
エヴァさんのセクハラ発言は無視して良いでしょう。
もっとも、胸をもまれることで女性ホルモンが活発化し、胸が大きくなる、という俗説はよく聞きますが。
きっと、よく動くようになったからだと思います。
警護の仕事もするようになりましたしね。
または、1年成長したからでしょうか。
といっても、本当の答えなどわかりませんが。
「残念ながら、私には明確なことはわかりません」
「そうなんや・・・。残念やなー」
木乃香はそう言って、自分の胸に手をあてます。
のほほんとした彼女でも、女性特有の悩みというのはあるようです。
残念ながら、私はそういった悩み等はありませんが。
自分の身体が未発達なことに、不満も喜びもありませんから。
「胸の大小関係なく、木乃香は綺麗だと思います」
「あはは、何や照れるわ〜」
「ゆっ、ゆえ!私は!?」
「のどかももちろん、とても綺麗な女の子です」
「・・・えへへ///」
「ねえねえ、あっちの深いプール行かない?」
「今年から、深さ2メートルのプールができたんだって」
今まで泳いでいた明日菜さんとパルがやってきました。
私たちは顔を見合わせ、座っていたプールサイドから立ち上がります。
「行くです」
「2メートルって、どんなやろ?」
「私、見てるだけにしようかな。怖いし・・・」
みんなでそのプールへと移動します。
そこはやはりできたばかりで珍しいのでしょう、結構な人がいました。
「うわっ!意外と怖いわね!」
「足がつかんと、意外と怖いんやな」
「・・・私パス。なんか溺れそうで・・・」
「わ、私も!」
沈まないように立ち泳ぎをしながら、ちょっと目を見開いている明日菜さん。
木乃香はのほほんと微笑みながらも、その手はしっかりと外に出る梯子をつかんでいます。
私はパルとのどかの隣から、水飛沫を起こさないようにジャンプし、足をそろえて飛び込みました。
おお、これは確かに少し怖いかもしれません。
海では足がつかないのが普通ですが、それとはまた違った感覚です。
慣れれば大丈夫でしょうが。
「木乃香、大丈夫ですか?」
「うん、平気やよー」
「そのわりに、梯子から手を離しませんが」
「あははー、やったら、夕映に引っ付いたろ」
木乃香は梯子から手を離して、私の肩に手をおいて背中にくっついてきました。
私はそのまま平泳ぎで明日菜さんのもとへと向かいます。
「大丈夫ですか?明日菜さん」
「慣れてくれば平気ね。っていうか、夕映さん達はなにしてんのよ。亀の親子?」
「あ、それええな〜。夕映が母親でウチが子供や」
肩にあった手を首にまわしてくる木乃香。
私は身体を鍛えているから大丈夫ですが、他の人にそれをやると溺れるですよ。
明日菜さんや真名さん達も大丈夫でしょうが。
「大きさ的には反対じゃない?」
「けどウチ、この深さじゃ泳げんし〜♪」
なにやら楽しんでいるようなので、そのまま泳いでみます。
「前から思っとったけど、夕映運動神経ええな〜♪」
「それには肯定するです」
「気をつけなさいよー?」
「もちろんです、明日菜さん」
「良いな・・・」
「え?のどか?」
「あっ、な、なんでもない!///」
決められた時間いっぱいまで泳いだ私たちは、時間も時間なので帰ることに。
「いっぱい遊んだな〜♪」
「そうね、今日は早く寝たいかも。結構つかれた」
「明日からは新学期も始まりますし」
「夕映〜、それは言わないでほしかった・・・はぁ・・・」
「パル、そんなに落ち込まなくてもっ」
「明日菜は嬉しいんやない?愛しの高畑先生に会えるしな〜」
「うっ、うるさいわね!///」
私はこの後も、エヴァさん達との修行がありますが。
麻帆良に戻ってきた私たちは、みんなと別れてエヴァさんの家へ。
名目上は、お土産を渡しにです。
「帰ったか」
「はい。これがお土産です。といっても、プールには関係のない羊羹ですが」
「まあ、プールならではのお土産などないからな。茶々丸」
「ありがとうございます、夕映さん」
茶々丸さんが羊羹を持って、私たちはそのまま別荘へ。
私はその時、修行を終えた後に行うのに必要な道具を持って。
さて、私の目論見は成功するでしょうか。
最近、エヴァさんは機嫌が良いです。
もっとも、その理由は私の行いなのですが。
私は頭が良い、と自分では思ってはいません。
ですが、自分の得意なこと・興味があることに対して、この頭脳は遺憾なく発揮されます。
それは、封印についてです。
もちろん、サウザンドマスターの力技らしいので、私ごときの魔力では解くことはできません。
が、一時的に解くことが可能になりました。
あの夏休み最終日に試してみたところ、理論上5時間と見積もってやりましたが、実際は3時間が限度でした。
それをふまえて再計算し、今では2日ほどであれば解くことが可能となります。
初めの目標は修学旅行に行くことなので、それまでに多めに見積もって1週間の封印解除状態を目指しています。
エヴァさんは15年間、1度たりとも麻帆良の外に出たことがありません。
だからこそ、この間 私、エヴァさん、茶々丸さん、チャチャゼロさんの4人で外に遊びに出たときは見たことがないくらい上機嫌でした。
そして今、もしかすれば修学旅行にもいけるかもしれないのです。
行く気なんてない、と言いながら家の中に京都の観光誌を所持しているエヴァさんです。
テンションが上がってしまうのも無理はないでしょう。
・・・・・・・・・・。
だからといって、今日の修行をキャンセルし。
別荘にいる間ほとんどベッドの上、というのはいかがなものかと私は思います。
「ふぁ・・・」
あくびをこぼし、私は隣に目を向け。
目に入るのは、最近見慣れたエヴァさんの寝顔です。
西洋人形のようなエヴァさんは、素直に可愛いと思うです。
さり気なく、この寝顔をみることが楽しみだったりもしますが。
ですがさすがに、15時間延々と、というのはいささかふしだら過ぎだと思うのは私だけでしょうか。
本当なら、修行に費やす時間でもありますし。
といっても、そんなことをベッドの上で思ったとしても意味のない行為です。
私は床に散乱している服を着ると、茶々丸さん達のいる場所へと向かいました。
「おはようございます、茶々丸さん、チャチャゼロさん」
「おはようございます、夕映さん」
「ケケケ、昨晩ハオサカンダッタミテージャネェカ」
下品です、チャチャゼロさん。
「それは私ではなく、エヴァさんだといっておきます」
「チガイネー」
「朝食をお食べになりますか?」
「はい。いつもありがとうございます」
頭を下げると、茶々丸さんはかすかな笑みを返してくれます。
初めの頃は本当にロボットのようでしたが、最近は当たり前のように微笑むようになりました。
喜ばしい変化です。
私は、機械であっても彼女のような存在は心を持つ、と思っている派なので。
「ご飯を食べた後、お2人に相手をお願いしたいのですが」
「わかりました」
「任セロ」
茶々丸さんの作ってくれた朝食を食べた後は、エヴァさんが起きてくるまでの間2対1での修行です。
彼女達相手の場合は、魔法は使わず体術のみで行います。
それから2時間後、起きてきたエヴァさんを含め、3対1での修行も行います。
その場合は、私の方も魔法を使用します。
もちろん勝てるはずもないので、どれだけ持たせることが可能か、というのを測って行います。
ちなみに、茶々丸さん達との場合は3回に1回は勝つことが可能です。
チャチャゼロさんの強さは、ハッキリいって反則です。
「今日はありがとうございました」
「今度はチャチャゼロと夕映、私と茶々丸にわかれてやってみるのも良さそうだ」
「ユエ、連携デキンノカ?」
「やってみなければわかりませんが、それなりにあなたのことは理解しているので自信はあります」
「ケケケ、楽シミニシテルゼ」
次の修行内容も決め、別荘を出た後3人に挨拶をしてそのままエヴァさんの家を出ます。
その後は、長瀬さんとの修行です。
それを終えた後は寮に戻り、のどか達と勉強会。
時によっては、ハルナのお手伝いに変わるときもありますが。
そうして、時は流れました。
ブラウザバックでお戻りください。
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