【体育祭、元気にバシバシ視線が痛い】































 唐突ですが、近々体育祭です。

 中学校最後の体育祭だからか、みんな妙に大張り切り。


 須加さん、すでに嫌な予感してます。


「いい?100メートル走で一番速かった人が、巳星との2人きりでデート券を獲得できるんだからね?」

「うん、わかってるよ、アリサちゃん」

「なのはもわかってるよ」

「私も」

「うちもや」


 なんだろう、あそこの円陣組んでる人達。

 チラチラこっち見て、何の用なのさ。


 うん、でも近づかない。

 なんか、変なオーラだしてるから。

 変、っていうよりも、異様?


 桑原桑原・・・間違えた、くわばらくわばら。


「巳星!」

「なに?」


 呼ばれたので、嫌々ながらにアリサたちに近づいていく。

 何させるつもりなのかすら、あの似非乙女達は。


「体育祭が終わった後の最初の日曜日、開けておいてほしいんだ♪」

「日曜日?みんなで出かけるの?」

「それは秘密や!」

「・・・まあ、良いけど」


「須加さんたち、早く集まって!体育祭の練習するよーー!!」


 そこで先生に呼ばれ、わたしたちは他の人達の集まっている場所に足早に向かった。







































 で、体育祭当日。


「巳星」

「フェイト?どうかした?」


 おずおずと話しかけてきたフェイト。

 不思議なことに、仕事中はキリッとしていてなのはと同じくらい崇め(恐れ?)られているフェイトだけど、わたしも前ではおどおどしてる。

 無印の時だって、そんなことなかったのになんでかね?


 あれ?

 もしかしてわたし、嫌われてる?


「あ、あのね、私リレーに出るんだけど」

「知ってるよ、それくらい。フェイト、足速いからね」


 フェイトから”嫌われてる疑惑”を晴らすため、彼女の頭を撫でる。

 だけど、フェイトの体が一瞬ビクリと震えて、顔を赤くしてしまった。


 うわ・・・っ

 もしかしても何も、嫌われてるっぽいっすよ、姉さん!(誰

 ソフトタッチも駄目ですか!?

 黴菌付着しちゃいますか!?


「そ、それで、出来たら、応援してほしいなって」

「応援?」

「うん。・・・駄目、かな?」


 ある種の人間にはかなり胸キュンものだろう、フェイトの上目遣い。


 でも、嫌われてるみたいっすから、あたくす・・・。

 あれ?

 けど、嫌っている奴に応援を頼むって、どういうことだろう?


 ・・・あ、わかっちゃった。

 応援された怒りで、速く走っちゃおう作戦ですか?


 ・・・うん、わたし頑張っちゃう★

 勝とうとするフェイトの心意気、もちろんお手伝いしますとも!


 べ、別に泣いてなんかいないんだからね!!(ツンデレ風


「もちろん、言われなくてもする予定だったから安心して良いよ」


 ごめんなさいね、初めから応援する気満々で!!

 っていうか、わたしのこと嫌いなら嫌いって言ってよね!

 そんなことで余所余所しくなんかならなくってよ!


 一週間家に引きこもるくらいですから!


「ありがとう!巳星!」

「どういたしまして〜」


「み〜ほしちゃん!」


 っと、後ろから抱き着いてきたのは、かつては幸薄少女。

 今現在は、家外関係なく人の胸を触ろうとする、変態街道まっしぐらの八神さん家のはやてさん。


 須加さんはもちろん、驚かない。

 これでも、管理局四天王の一人、って言われてるんですから。

 前回の経験もあって、気配読むのは長けてますわよ?


 ん?

 四天王のメンバー?

 ・・・別に、言わなくてもよくない?

 当然の如く、高町なのはさん、フェイト・テスタロッサさん、八神はやてさん。

 で、わたしの4人ですが、なにか?


「どうかした?」

「なぁなぁ。うち、借り物競争でるんやけど、応援してくれるんやろ?」


 ・・・え?

 もしかして、はやてもわたしをさりげなく嫌ってる1人?

 いやいや、ここまでボディタッチしておいて、今さら嫌ってるなんてまさか。


 ・・・違うよね?


「そのつもりだけど、しないほうが良い?」

「まさか!してほしいに決まっとるやん!大きな声で、うちの名前呼んでな!したら、絶対に一位とれる気がすんねん!」

「大きな声かはわからないけど、なるべくご要望に応えられるように頑張るよ」

「うん、楽しみにしとるわ!」


 嬉しそうにわたしの首に顔を押し付けるはやて。

 思わず安堵。

 フェイトみたいな意味じゃないみたい。

 ホッ。


「っはやて!!」


 うおっ!?

 フェイトの大声に、思わず驚いてしまう。


「ん〜?なんや、フェイトちゃん」

「みっ、巳星に抱きついたりしたら駄目だよ!迷惑だよ!」

「そうなん?巳星ちゃん」

「え、別に」

「ほら、巳星ちゃんもこう言っとるやん」

「でっ、でもっ」

「でも、なんや?」

「・・・ずるいよ・・・っ///」


 わぁ、顔を真っ赤にして小声のフェイト。

 これは確かに、危うい人達の人気集めちゃうそうだね。


 納得納得。


 ・・・・・・・・・ずるい?


「なに?ずるいって」

「あっ!そそそそそれはっ!!」

「それは?」


 俯いてしまったフェイトの顔を覗き込むと、ずざぁー!っと勢いよく後ろに後退。

 うわぁ、凄い脚力。

 速すぎて見えなかったけど、今のどうやって動いたんだろう・・・。


 え?現実逃避?

 そうですよ?それが何か?


 ごめんなさいね、醜い顔近づけちゃって!


「あははは。フェイトちゃんも、巳星ちゃんに抱きついたりしたいんよ」

「へ?」

「ははははやて!!///」


 嫌いな人に抱きつきたいの?

 え?フェイトって軽いマゾ?


「ええやんええやん。でな、フェイトちゃんは恥ずかしゅーて、うちみたいに素直に表せられへんから、ずるい言うたんや」

「どういうこと、フェイト」


 フェイトに顔を向けると、恥ずかしそうに目線を魚さんにする。

 あ、ギョロっとしたんじゃなくて、泳がせたって意味ね。


「うちみたいに素直に抱きつけるんが、羨ましいんやよな〜?」

「あ、あぅ・・・///」


 ・・・・聞いてください奥さん!(だから誰

 わたし、フェイトに嫌われたわけじゃないんですって!!

 なんだよぅ、勘違いさせるなよ〜♪(キャラ壊れ


「・・・おいで」

「え!?」

「ほらほら、早く」


 両腕を広げてフェイトを見つめると、少し巡査したあと、わたしの腕の中に入ってきた。

 嬉しそうに。


 うんうん、これはマジで嫌われてなかった証拠だね!

 誰だよ、フェイトに嫌われてるんじゃないか、なんて言ったやつ!

 出てこいよぅ★(壊れ


「そっちの方がずるいわ!巳星ちゃんに抱きつくんちゃうくて、巳星ちゃんに抱きしめられとるやん!!」

「だ、だって、巳星が良いって言ってくれたからっ///」

「そうだよ?第一、はやては後ろから抱き着いてきてるでしょ」

「ちゃうねん!うちかて、巳星ちゃんのぬくもりに包まれたいねん!巳星ちゃんを肌で感じたいねん!」


 ・・・ねえ、誰?

 この子に、こういう物言い教えたの。

 軽いセクハラを感じます。

 いや、はやてに関してはもう今さらだけどさ。


「止めなさい!このセクハラ女!」

「ぎゃっ!」


 そこに登場、アリサさんたち。

 ナイスツッコミ。


「な、なにすんねん、アリサちゃん!」

「あんたこそ、なに言ってんのよ!ここは、保護者が見に来てる体育祭の会場よ!?なななによ、肌で感じたいって!!」


 ああ、そこだけ聞いてたら、セクハラどころじゃないね、確かに。


「ほら、フェイトちゃんも。いい加減、巳星ちゃんから離れよう?」


 ・・・優しい笑顔が反対に怖いんですけど、月村さん。


 20後半のわたしは、15歳の女の子の迫力が怖くてフェイトから手を離そうとした。

 だというのに、フェイトは反対にわたしに抱きつく腕を強くして。


「巳星から、抱きしめてくれたんだよ」

「・・・・フェイトちゃん

「なに、すずか」

巳星ちゃんのこと、離してあげてくれるかな?

「嫌だ」


 おいおい!

 君さっき、凄い勢いで恥ずかしがってなかったっけ!?

 っていうか、人を挟んで修羅を出し合うな!


フェイトちゃん、我儘は駄目だよ?


 キャーーー!

 白い悪魔ご出陣!?

 何で!?どうして!?理由は!?


「・・・巳星、良いでしょ?」

「まあ・・・」


 ああ、とっても睨みがびしばし痛いです!


 だって、仕方ないじゃん!

 あんな、捨てられた子犬みたいな顔されたらさぁ!

 無印のフェイトと被るんだよ、このやろう!


「巳星ちゃん?」

「わかったわかった」

「え!?」


 もはや最後の悪足掻き!


 わたしはなのはとすずかを引き寄せて、3人いっぺんに抱きしめた。

 はやてがいまだ後ろに張り付いたままでかなり狭いと思いますが、それはご了承ください。


「「み、巳星ちゃんっ?///」」

「これなら、文句ないでしょ?」

「「「・・・・・・(この状態で笑うの、反則っ///)」」」


 何で2人が怖かったのかはわからないけど、大人しくなったので良しとする。


「巳星ーーーー!!!」


 あ、もう1人の修羅がいたんだった(汗










 あくまで。


 ちょいと【巳トリ】の言わなくちゃわからないくらいちっさなネタバレ含み。

 あの子達って、中学通ってるよね?と思って、中学の体育祭の短編です。









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