「いい加減にしなさいよ!!」

「っ!?」


 わっ!

 急な怒鳴り声に、思わずビクってなっちゃった。


 驚いてそちらに顔を向けると、いかにも怒ってます、的な顔をしたアリサがなのはを睨んでいた。

 アリサの隣にいるすずかは苦笑気味。


「すずか、すずか」


 小声ですずかを呼ぶと、すぐに近づいてきてくれる。


「なに怒ってるの?アリサ」

「最近のなのはちゃん、心ここにあらずだから。アリサちゃん、それで怒ってるの」

「なるほどね」


 そっか、その話しか。


 ってことは、・・・・・・・何話目?

 普通に忘れちゃった。





























【あれ?もしかしてこの子、黒い?】































「話しかけても答えてくれないし、聞いても「なんでもない」の一点張り。怒られてもしょうがないよね」


 にっこり笑顔のすずか。


 ・・・あなたも、さりげなく怒ってらっしゃるわけですか。

 まあ、にしても。


「友達思いだね、2人とも」

「え?」

「だって」


 アリサとなのはへと顔を向けると、2人にも聞こえていたようでこちらを見ていた。


「なにを悩んでいるかについての好奇心よりも、大切な人が悩んでるから相談に乗りたいのに、って気持ちで怒ってるんでしょ?」

「・・・アリサちゃん、すずかちゃん・・・」


 驚いたように2人を見るなのはの頭に手を伸ばし、撫でる。


「悩むことは良いことだよ?それによって、人はより良い方法を見つけ出すことが出来る」

「けど、なのはには友達がいて、その2人はすごくなのはを大切に思ってる、ってことだけは知っておいたほうが良いよ」


「「巳星ちゃん・・・」」

「巳星・・・」


 なのはの頭を軽く叩いて、わたしはアリサとすずかを見た。


「たぶんなのはは、この間知り合った女のこの子とを考えてるんだと思う」

「巳星ちゃん!?」

「その子の名前も何も知らないんだけど、すごく寂しい瞳をした子。なのはは、その子のことが気になって仕方がないみたい。ね、なのは」

「っ!う、うん。その子と、どうすれば仲良くなれるのかなって、ずっと考えてるの」


 なのはもわたしの言いたいことがわかったらしく、そう合わせてくれる。

 さすがのわたしも、2人に魔法のことは言えないって。

 まあ、2人が受け入れてくれること、わかってるけどさ。

 いい子達だし?


「・・・そう。なら、さっさと相談してくれれば良いじゃない」

「そうだよ。水臭いな、なのはちゃんは」

「うん、ごめんなさいなの」


 もう一つの悩みのほうは、自分で解決するべきことだからね。

 自分の心と向き合わないと、解決できないから。


 ・・・合ってる?


「でも、なのはちゃんだったら絶対にその子とお友達になれるよ」

「そう、かな?」

「あたしたちの関係もそうだったでしょ。初めは、仲良くなかったじゃない」

「あ・・・」


 アリサにいたずらされそうになったすずかを、なのはが助けたんだったっけ。

 まあ、その時のアリサは、今より捻くれてたみたいだし。


 っていうか、今のアリサは捻くれてるっていうより、表現が不器用な女の子、っていうのがピッタリだけどね。

 俗語でいうなら、ツンデレ?


「巳星ちゃんも」

「ん?」

「巳星ちゃんも、あの子と友達になれると思う?」


 わたしはすぐに頷いた。

 それは、わたしは未来を知ってるから。

 それもある。

 けど。


「純粋な思いから仲良くなろうとしてるなら、なれると思う。そこに打算や損得を含めたらわからないけど、呼びかけ続ければ大丈夫なんじゃないかな」

「・・・そうだね」

「わたしにはあの子が、心から触れあいを拒絶してるようには見えない。嫌なら、わたしに話しかけてなんてこないはずでしょ?」

「あ・・・そっか・・・」


 納得顔のなのはは、この間のすずかの家でのことを思い出しているのだろう。


「人と人とを繋ぐ縁(えにし)とは不思議なもの。嫌いあっていた者たちが仲良くなることもある。仲の良かったものが疎遠になり、忘れてしまうこともある」

「未来を知ることが出来ないのと同じように、その縁がどこに続くのか、それは想像ができないことだからね」


 アニメ、なんて反則で知ってるけど。

 その通りにすすむとは限らない。

 何より、今ここにわたしがいるのだから、確実に違う部分が出てくる。

 バラー’s の時も、そういう部分があったしね。


 フェイトとの初対面の時、真正面から攻撃を受けてなのはが気を失う、なんてことがなかったように。

 ・・・いや、あれはわたしのせいなんだっけ?


「・・・あんたね〜、いちいち言うことが子供っぽくないのよ!」


 ・・・子供じゃないもん。


「ま、まあまあ、アリサちゃん」

「簡潔に言って!はい!」


 はい、って。


「だから、未来はわからない。その未来であの子と友達になりたいなら、それなりの努力をすべし!」

「はいなの!巳星ちゃん!」


 元気よく頷いたなのはの頭を撫で、アリサを見た。


 今のでオッケー?


「まあまあね」


 あら厳しい。


「もう、アリサちゃんたら♪」



















「それで、どうして呼ばれたの?」


 放課後、なのはと別れようとしたら呼び止められた。

 なにやら話しがあるらしいけど。


「結局、ユーノ君のこと話してないな、って」

「あ〜」


 そういえばそうだった。

 すっかり忘れてたや。

 知ってるから、スッパリと。


「実は僕・・・」


 なのはの肩の上で、ユーノは語りはじめた。

 それは、わたしが知っている内容で。


「・・・なるほど。それじゃあ、ユーノは本当は人間で、散らばったジュエルシードっていうのを封印するために、なのはに協力してもらっているわけか」

「うん」

「そっか・・・。うん、じゃあわたしも手伝うよ」


 本当は介入したくはないけど。

 それは、もう早い段階から諦めた。

 だって、なのははもう友人だからね。

 それに、なんだかんだいって、やっぱりフェイトのことも気になるし。


 そんなわたしの発言に、2人?が驚いたようにこちらを見た。


「「え!?」」

「といっても、わたしに何が出来るわけでもないだろうけど、なにかおかしなことがあったらすぐに連絡する」


 それくらいしかできない、とも言うけど。

 それだけなら、わたしの野望も覆らないしね。


 なのはみたいに、魔法を使うわけじゃないんだから。

 ・・・・・・。


 ちらりと、指輪に目を向けた。

 相変わらずつけたままのソレ。

 うん、今のところ異常ないし、民間協力者くらいなら平気平気。

 アリサたちと一緒にその位置につくなら、早くても変わんないでしょ。


「・・・ありがとうなの!巳星ちゃん!」

「ありがとう、巳星。けど、無理はしないようにね」

「良いって、それくらい。それに、力もないのに余計なことはしないよ」


 そう返せば、なのはとユーノは嬉しそうに笑った。

 ユーノはフェレットだけど。


【プロテクト、解除されました】


「え?」


 今、どこからか声が・・・。


「どうかしたの?巳星ちゃん」

「あ、なんでもない」


 いや、きっと気のせいだって。

 うん、気のせい気のせい。

















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