「あれ?」


 夜、自分が指輪をはめていることに気がついた。

 今さら・・・?


 左手の人差し指には、3センチほどの幅のある、銀の指輪。

 中心に、緑色の石がはまっていて。

 色は、翡翠に近い?


「・・・・はは、まさか」


 乾いた笑い。

 いや、だって・・・・。

 まさか、ねえ?


 一般人ですよ、わたし?

 民間人民間人。

 まさか、デバイスだなんて、そんなことあるわけ・・・。


 あははと笑いながら指輪を外そうとするけど、何故か外れない。

 指輪が、じゃなくて。

 なんだか、体が拒んでるような。

 外したくない、と思ってるような。


「・・・・うん、寝よう」


 とりあえず、意味不明な自分諸々を気にしなかったことにして。

 指輪も綺麗だし?

 今日、教師に文句いわれなかったし。


 というわけで、おやすみー。

 あ、断じて現実逃避なんかじゃないよ?





































【デバイス?いやいやまさか】































 昨日はありえない出会いなんてものをしちゃいましたが、望むべくは平凡な人生。

 なんてったって、座右の銘は【平々凡々】ですから☆

 トリップしたけど、位置的にはアリサたちみたいに、民間人、ていう感じだろうし。


 でもそこはね、王道のトリップみたいに、


 物語に関与しちゃった、てへvv


 的な展開は断固拒否ですから!


 来年、アリサとすずかが、なのはとフェイトの本当を見たとき、一緒に。


「なのは・・・?フェイト・・・?・・・それ、コスプレ?」


 って、言ってやる!

 さも、何も知らない子供、みたいにね!

 あははは〜うふふふ〜(壊


「巳星ちゃん、ここ教えてほしいの」


 思考の渦に埋もれてたわたしは、なのはの声でそこから抜け出した。


「それ?それは―――」


 とりあえず、変な思考をしていたことがバレないよう、普通になのはの質問に答える。


 今、わたしがいるのは、高町さんのおうち。

 アリサ、すずかと一緒にお勉強会です。

 といっても、わたしもアリサもはすでに宿題なんて終わってるけど。

 だって、授業中暇だったんだもん。

 小学校の授業なんて聞いてても、全部わかってるから。


「巳星ちゃん、私も良い?」

「どこ?」


 すずかにも教えながら、わたしはちらりと指輪へと目を向けた。

 変わらず、ひっそりと自己主張をしているソレ。


 今日も指摘されなかったけど、それで良いのか教師!

 小学生に指輪は早いだろう!

 とか言いながら、外す予定はないんだけどね!

 もしそれで外れなかったら、とっても怖いから!


「あ、ユーノ君!」

「へ?」


 ユーノって、もしかしてあのユーノ?

 Youの、ではなくて?


 あはは、この子もういるんだー。

 ってことは、すでになのはは魔法少女済み?

 あー、だからフェイトももういたわけかー。


「あ、そっか。巳星は知らないのよね。この子、なのはが怪我してるところ見つけたフェレットなのよ」

「飼い主もいないみたいで、なのはちゃんのお家で育ててるみたいなの」

「そうなんだ」


「(なのは・・・)」

「(どうしたの?)」

「(疲れたから、ここにいていい・・・?)」

「(にゃはは。お母さんたち?)」

「(僕、疲れたよ・・・)」


 ・・・・聞こえない。

 ・・・・・何も、聞こえない。


 いや、っていうかおかしくない!?

 何で念話が聞こえるんですか!?

 2人の間の念話が、何で聞こえるの!?

 それとも、2人とも相手だけに聞こえるように、って限定してない!?

 いやいや、それだとフェイトにも聞こえるよね!?


 って、わたしは何も関係ないでしょ!

 あれだ!

 きっとわたしは、この瞬間だけエスパーなんだ!


 冷静な振りをして、わたしはすずかに宿題を教えることにした。

 内心、君たち黙って!って思ってるけど!


「ようやく終わったよ〜♪巳星ちゃんのおかげ。ありがとう」

「良いってことよ」

「え!?嘘!なのはまだ終わってないの!」

「ボーっとしてるあんたが悪いんでしょ」

「うぅ・・・だってぇ」


 あー・・・・。

 違うことに意識いってたからねー。


「大丈夫、ちゃんと終わるよ。頑張ろう?」

「・・・ありがとうなの、すずかちゃん」


 にっこりと笑い合うすずかとなのは。

 アリサさん、それを見てアクビするのは、ちょぉっと可哀想だと思うんです。


「・・・眠いの?」


 もたれかかってきたアリサ。

 問いかけると、ハッとしたようにわたしから離れた。


「ちょっと、最近寝不足なのよ」

「なんでまた?」

「さあ。なんか眠れなくて」


 なんか眠れなくてって、9歳の発言じゃないでしょ。


「ストレスがたまってるとか?」

「ためるようなことは起こってないけど?」

「???」

「まあ、気にしないで」


 そう言って、もう一度ため息。

 ってことはさ、今もたれかかってきたのは、眠かったってことだよね?


「寝て良いよ」

「は?」

「眠いなら。膝でも肩でも好きなところ使ってくれて良いし」

「・・・はあ!?」


 あまりの大声に、なのはとすずかが何事かとこちらを向いた。

 その2人になんでもない、と返しながらアリサをみる。

 相変わらず目を見開いてこちらを凝視。


「そんなに驚くこと?」

「だ、だってあんた!」

「?」


 何でそんなに驚いてるんだろう。

 まさか、9歳の子供が膝枕云々を気にするはずないだろうし。

 気にするなら、どんだけませてんだ、アリサv。ってことになるよね。


 それとも、最近はこれくらい普通?

 ・・・そっか、最近は小学校低学年で両性の体の仕組み、みたいなこと教えるんだもんね?

 そりゃあ、耳年増にもなるわー。


「まあ、アリサさんが恥ずかしくってそんなこと出来ない、とおっしゃるのなら別にかまいませんが?」

「は!?恥ずかしくなんてないわよ!」


 顔を紅くすると、アリサはそう言ってぽすん、と膝に頭を乗せてきた。

 あら、膝枕を選ぶわけね。


「耳、赤いよ?」

「気のせいでしょ!」


 そう言って、アリサは膝に顔をうずめた。


 きゃー、セクハラだわー(棒読み。


 笑いをかみ殺しながら、アリサの髪を撫でる。

 恥ずかしそうにしてたのは最初だけで、すぐに寝息に変わったアリサの呼吸。


 子供は寝て育つっていうしね。

 まあ、これで夜眠れなくなっても、わたしは管轄外です。


 とりあえず。


「2人とも、どうかした?」


 ジーっと、こっちを見てくるすずかとなのはに問いかけてみた。

 返って来たのは、華麗な無視。

 せめて、何か言ってほしかったんですけど・・・。


 っていうか、宿題終わったの?



















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