【わかりづらい嫉妬】
「あら、どうしたの?」
あまり抑揚のない声に、 は顔を上げた。
顔を向けた先には、相変わらず何を考えているのかわからない顔をしたふみが。
「あ、ふみ」
「体調でも悪いの?ちゃん」
「っつーよりも、寒いだけじゃないのか?」
「むつ、正解。みんなは寒くないの?」
は不思議そうに羨ましそうに、寒そうにしていない3人を見た。
ひよとふみは顔を見合わせ、むつは腰に手をあてて一歩前に出る。
「全然寒くないぞ!」
「あ〜・・・。むつは、もこもこパンツはいてるもんね」
「もはいてみたら良い!」
「高校生として、それは遠慮させてもらいます」
謹んで遠慮させてもらい、はひよに抱きついた。
「ひゃぁっ!」
「ぬくいぃ〜」
「んもう、急に抱きつかないでよ〜」
「だって、ひよ温かそうにしてるんだもん」
ぬくい〜、とふやけた笑みを浮かべて言いながら、すりすりとすりよる。
ひよも、もう、とくすり笑って抱きしめ返す。
「あったか〜」
「マヌケな顔ね」
「良いの、べつにぃ」
ふみに舌を出して返し、はさらにひよに抱きついた。
むつはあはは、と笑っての隣の席に腰掛けた。
「は、ホント寒がりだよな〜」
「まあ、当然よね」
「え?なんで?」
「「?」」
ふみがしたり顔で頷くのをみて、ひよたちが不思議そうにふみを見上げた。
「だって、の体って、あまり脂肪ないもの」
「へぇ〜、そうなんだ。・・・羨ましいな、ひよ」
「なっ、なんで私にふってくるの!?」
「べつに、なぁ?」
「う、うん、ひよは今のままでいいよ!」
「あれ?ちゃん、なんか顔赤くない?」
「え!?そ、そう?」
確かに、の顔は赤い。
ちらりとがふみを見れば、にやぁっと悪い笑顔を浮かべたふみと目が合う。
それを見て、はさらに顔を赤くして顔を戻した。
「熱でもあるんじゃないのか?」
「そ、そうかな?」
「うん、保健室行く?」
「いや、だいじょ」
「みんな!おはよう!」
元気に挨拶してきたのはかやの。
「あ、おはよ、かやの」
「「「おはよう」」」
「今日寒いね〜」
「かやのもそう思うよね」
「うん。むっちゃんは相変わらずそのパンツなんだ」
「温かいからな!」
笑顔でかやのに返し、むつはえへんと胸を張る。
かやのはそれに笑って返しながら、もこもこパンツが気になるらしくちらちら。
「やっぱり、温かそうだね」
「かやのも履いてみればいい!」
「気にはなるけど、恥ずかしいよ〜」
「む〜。履いてみればいいのに」
そんなむつとかやのの会話を笑いながら見ていたひよたち。
は相変わらずひよに抱きついて暖をとっていたのだが、急にふみがの耳に囁いた。
「いつまでひよに抱きついてるの?」
「ひっ」
「?ちゃん?」
「あ、な、なんでもないよ!」
いつの間にかひよの後ろにいる、変わらずににやり笑いのふみを視界に入れないようにしながら、は笑って答えながら、ひよから離れた。
こういうことをするふみは、表情こそ笑っているが、内心嫉妬していることを知っているから。
「あれ、もう良いの?」
「う、うん。結構温かくなったし」
あはは、と乾いたように笑い、はわざとらしく思い出したように立ち上がる。
「私、お手洗い行ってくるね」
「いってらっしゃい」
笑顔で手を振ってくれるひよに笑顔を返し、は教室を出た。
だが、
「」
聞きなれた恋人の声に、廊下でぴしりと固まってしまう。
「ふ、ふみ、どうしたの?」
「私もトイレに行くわ」
「そ、そう」
「あ、さんにふみさん。おはようございます」
「あ、委員長。おはよう」
「おはよう」
トイレに向かって2人が無言で歩いていると、前から委員長が。
その登場に、は人知れず安堵の息を。
「どうしたんですか?朝からお疲れのようですが」
「うん、まあ、ね。委員長は珍しく、遅かったけどどうしたの?」
隣に原因がいるためそうやすやすと言えないは、すぐに話題を変えて反対に問い返した。
すると、委員長は言葉につまり、近づいてくる。
「むっちゃんたちには言わないでくださいね?」
「うん、良いけど・・・」
不思議そうにしながらもが頷くと、委員長はの耳に顔を近づけた。
「じ、実は、寝坊をしてしまって」
「あ〜。でも、そんなの誰でもすることなんだし、別に恥ずかしがることないのに」
「いえ、恥ずかしいと言うよりも、むっちゃんに馬鹿にされるのが我慢ならないんです!」
「今から行ったら、確実に疑われるわよ?」
「うっ・・・」
聞こえていたらしいふみの言葉に、委員長が言葉を詰まらせる。
だが、はにっこりと笑って委員長の肩に手を置いた。
「嘘も方便。今日は授業のない先生と話をしてたことにすれば良いじゃん。授業がないから、バレる可能性少ないし」
「あ、そうですね!」
「うん。後は、朝から予習をしてたら遅刻した、とかね。むつの苦手な話題だから、混乱して誤魔化せると思うよ」
「そちらのほうが、むっちゃんには効きそうです!ありがとうございました、さん!」
頭を下げて教室に向かっていく委員長に、は苦笑。
「委員長って、むつが嫌いなのか好きなのか、たまに悩むよね」
「は、優しいわね」
「え?そ・・ぉ・・・」
首をかしげてふみを見れば、彼女の額には怒りマークが。
表情こそ変わらないが、他にもはなつ空気が重い。
は慌てて前に向き直り、トイレへと早足で向かう。
その隣を、並走して歩く(?)ふみ。
周りはそんな異様なたちを何事かと見ているが、にそんなことを気にしている余裕はない。
このままだと、トイレの個室に無理やり入ってきかねないと判断したは、即Uターン。
が、がしりと腕をつかまれ、足を滑らせてすっころんだ。
「ふみ!君ね!」
「の行動はむつくらいわかりやすいわね」
「がーーん・・・!って、ちがう!急につかんだら危ないでしょ!?」
「怒らりた」
「怒るよそりゃあ!まったく、ふみまで転んだらどうするの?」
ぷんぷんと怒るに、ふみの周りが明るくなる。
「ちょっと、なに喜んでるの?私、怒ってるんだからね!」
「、トイレに行きましょう」
「・・・・・はぁ。もういい、ふみに怒っても効果ないし」
このとき、彼女は気づくべきだったのだ。
何故、ふみが喜んだのか。
そうすれば、学校のトイレで食われることなんてなかったのだから。
「ふみちゃんもちゃんも、授業サボっちゃ駄目でしょー!」
「2人とも、見損なったー!!」
「1時限目、むっちゃんの嫌いな英語だったもんね〜」
「・・・・文句なら、この馬鹿に言って」
「大丈夫ですか?さん、体調が悪そうですが」
「そうね、今は少し体温が高いかもしれないわね」
「ふみ!!」
一言。
なんとなく、書きたくて。
というか、ノリ?
知ってる方、いるでしょうか、この漫画。
ブラウザバックでお戻りください。
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