【ホステスの館】

	





 ・・・・・・・・・・・・わたしは今、夢を見ているのだろうか。

 もし夢だとしたら、なんて悪趣味な夢。

 頬をつねってみる。

 痛い・・・・・。

 どうやら、夢じゃないみたいです。

 ってことは、現実?

「最悪・・・・」

「いらっしゃいませ、ごきげんよう。初めての方ですよね?」

 そういって挨拶してきたのは、何故か黒いスーツを着た水野蓉子。

 似非だ。

 かなり似非笑顔だ。

「は?」

 っていうか、『いらっしゃいませ』ってなんだ。

 ここは何処?

 薔薇の館じゃないの?

 だいたい、初めてのはずがない。

 一応、これでも青薔薇なのだから、放課後はいつもここにきてるちゅーねん。

「でしたら、こちらへ」

 わたしの思いになど気づいた様子もなく、水野蓉子は似非笑顔でわたしを先導する。

「・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 とりあえず、わたしは水野蓉子の後についていった。

 そこには8枚のパネルが。

「選りすぐりの者を備えております。誰になさいますか?」

 誰って、何がだ。

 というか、ここは何処?

 薔薇の館だよね?(2回目)

「ここ、なに?」

 そう問うと、水野蓉子はあからさまに驚いた表情をした。

「ご存じないのですか?」

 うわっ。

 なんかその表情ムカツク!

「まったく」

 知るか。

「ここは『ホステスの館』。私どもホステスが、皆様の日頃の疲れを癒してさしあげるための施設でございます」

 なに言っちゃってんの、この人・・・・・・。

 眉をよせ、水野蓉子の額に手をあてる。

「・・・・・・あの?」

「熱はないね」

 ということは、ナチュラルな状態でこんなこと言ってるわけか。

 さあ、どうするか。

 ナチュラルっていうのが、一番キツイんだぞ?

 ツッコミを入れても、意味ないから。

「熱なんてございません。変わった方ですね」

 うわ、ちょームカツク。

 こんな変な状態の水野蓉子にさえ『変わった方』とか言われるの、凄くムカツク。

 激しくムカツク。

 そして凹む。

「それで、誰を指名なさいますか?」

 ・・・・・・・・もう、何か言うのも疲れるから、話にのってみよう。

 面白そうだし。

 そう思って、ハッとする。

 なんか、ファミリーに染まってる気がする。

 面白そうだから、だなんて。

 ・・・・・まあ、良いや。

 というか、もう良いや(投げやり)。

「・・・・・・・・・・・へー」

 パネルを見てびっくり。

 唯我独尊トリオが、1,2を独占してるんだから。

 驚くなっていう方が無理じゃない?
 
 あ、でも、一応、人気あるんだっけ。

 No,1が、何故か白い薔薇を持っている佐藤聖。

 No,2が、似非笑顔の鳥居江利子。

 同じくNo,2が、これまた同じく似非笑顔の水野蓉子。

 そんで、支倉令、小笠原祥子、福沢祐巳、藤堂志摩子、島津由乃の順にパネルが貼ってある。

 ――― 眩暈がしてきたぞ。

 あれか?

 突っ込んで良いのか?

 ツッコミ待ちなのか?

 なら突っ込むぞ?

「誰になさいますか?」

 ・・・・・・・素か。

 突っ込んじゃダメなのか・・・・・。

 耐えろわたし。

 耐えるんだ。

 これに耐えたら、2倍も3倍も、人として成長出来るはずだ。

 きっと。

 そう思って耐えるんだ、須加巳星よ。

 スーハー、スーハー。

 深呼吸をして、わたしは再びパネルを見た。

 っていうか、いつも一緒にいて2人きりで話すって、どうなんだろう。

 あ、突っ込んじゃった。

 ダメだぞ、巳星。

 いくらツッコミどころが満載だからって、耐えなくちゃいけない時がある。

 我慢が必要なんだ。

 今は、我慢が必要な時なんだ。

 今まで養ってきた我慢強さを、今活かさずにいつ活かすというのだ。

 こういう時こそ、本領発揮だぞ。

 ――― ヨシ、頑張ろう。

 けなげなわたしに、乾杯。    あとがき

 『桜蘭高校ホスト部』をちょっとパクってみました。
 PCが使えない間に考えた、番外編。
 続くかどうかは、不明(爆
 
 

          

 

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